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 16 連年贈与の注意点とは

Question 親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下となるため、贈与税がかからないことになりますか。

■双方の主張
課税庁: 10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかり申告が必要となる。
納税者: 各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかからないため申告は必要はない。


Answer あらかじめ贈与額が約束されており、毎年同一時期に同一金額の贈与が継続してされている場合、連年贈与として贈与額全体に対して初年度に贈与税がかかり申告が必要となる。


【解 説】

 連年贈与とは、今後毎年100万円を10年間にわたって贈与するといったように事前に取り決めて贈与することをいう。

 このようにあらかじめ贈与者との間で10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、1,000万円(定期金に関する権利*。10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかり、申告が必要となる(国税庁タックスアンサーNo.4402「贈与税がかかる場合」)。


◆実務上のポイント

 連年贈与とみなされないためには、贈与のつど契約書を作成し、贈与の時期、金額、財産の種類に変化を付ける必要がある。

 1回の贈与契約で、10年間毎年○○円を贈与するといったような内容の贈与契約は、連年贈与(有期定期金の贈与)となり、贈与金額の総額に対して、初年度に贈与税がかかることに留意が必要。


 定期金に関する権利とは、契約(定期金給付契約)により、ある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいう。相続税法では、定期金給付契約でその権利を取得した時において、定期金給付事由が発生しているもの(相法24)と定期金給付事由が発生していないもの(相法25)について、それぞれ評価方法が定められている。

 

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