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勤労者の持家政策としての特別措置
勤労者の持家推進政策として、住宅取得資金の低利貸付等について課税の特例が設けられていますが、この特例の適用は一般の使用人に限られ、役員については適用されないことになっています(措法29)。
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社宅の貸与
社宅の貸与に関しては、次のような相違点があります。
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イ |
家賃相当額の評価方法が異なり、役員社宅については原則として使用人社宅より高い評価算式が適用されます(基通36―40)。
また、借上社宅の家賃評価に当たり、役員社宅については、借上料の2分の1基準が適用される(基通36―40)ほか、家賃相当額の評価算式を適用する場合の固定資産税の課税標準額の増減による家賃相当額の評価換えに当たり、20%以内の増減については評価換えを要しないとする使用人社宅の場合の特例が適用されないことになっています。
更に、床面積が240平方メートルを超える等によりいわゆる豪華社宅と認められるものについては、自社所有であるか借上げであるかを問わず、いわゆる時価により評価を行い、所得税基本通達に定められている家賃評価の算式は適用しないこととされています(平7課法8―1)。
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ロ |
使用人社宅については、家賃相当額の2分の1以上の家賃を徴収していれば課税しないとする特例がありますが(基通36―47)、役員社宅については適用されません。
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値引販売
役員又は使用人に対する自社製品の値引販売については、一定要件のもとにその利益について課税しないこととされていますが、その値引率が役員についてだけ高率であるような場合には、非課税とはならず、給与として課税されることになります(基通36―23)。
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保険料の負担
使用者が自己を契約者として、使用人のためにいわゆる掛捨ての生命保険料や損害保険料を会社が負担することによりその使用人が受ける利益については、給与として課税しなくてもよいことになっていますが、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを対象としてこれらの掛捨ての保険料を会社が負担した場合には、その役員に対する給与として課税されることになります(基通36―31〜36―31の7)。
また、使用人のために会社が負担した生命保険料や損害保険料で、本来であれば使用人に対する給与として課税されるべきものであっても、その会社負担額が月額300円以下の場合には、課税しなくてもよいことになっていますが、役員又は特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを対象としてこれらの保険料を会社が負担した場合の経済的利益については、たとえその負担額が300円以下であっても、すべて給与として課税しなければなりません(基通36―32)。
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用役の提供
役員だけが利用することのできる保養所等の各種の施設を役員が利用することにより受ける利益については、使用人も利用することができる保養所と異なり給与として課税されることになります(基通36―29)。 |