目次 Q1-5


課税されない現物給与

Question1-5

 所得税が課税されない現物給与にはどのようなものがありますか。


Answer

 現物給与で所得税を課税しない(課税しなくても差し支えないものを含みます。)こととされているものには、所得税法及び租税特別措置法等の法令で規定されているものと、取扱通達によって明らかにされているものとがあります。

(1) 法令の規定により課税しないこととされている現物給与

項  目 取 扱 い の 概 要
 通勤用定期乗車券(所法9(1)五、所令20の2)
 1か月当たり100,000円までの通勤用定期乗車券
 乗船中の食料(所法9(1)六、所令21一)
 船員法第80条の規定により乗船中の船員に無料で支給される食料
 制服(所法9(1)六、所令21二、三)
 職務の性質上制服を着用しなければならない人に支給される制服その他の身回品又はこれらのものの貸与を受ける利益
 強制居住家屋(所法9(1)六、所法21四)
 国家公務員宿舎法に規定する無料宿舎及び職務の遂行上の必要から指定された場所に居住することを要求される人がその場所に居住する家屋の貸与を受ける利益
 低利融資等による利益(措法29)
 給与所得者(役員を除きます。)に対する住宅用家屋又はその敷地の購入資金の低利融資等による利益などで一定の要件を満たすもの
 ストック・オプションの行使による利益(措法29の2)
 一定の要件を満たす税制適格のストック・オプションを行使して株式を取得した場合に受ける利益


(2) 取扱通達により課税しないこととされている現物給与
項  目 取 扱 い の 概 要
 永年勤続者の表彰記念品(基通36―21)
 おおむね10年以上の勤続者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者についてはおおむね5年以上の間隔をおいて行われるもので、社会通念上相当(金銭支給はすべて課税)な記念品
 創業記念品等(基通36―22)
 創業記念品等でその処分見込価額が10,000円以下の記念品等
 商品、製品等の値引販売(基通36―23)
 取得価額以上で、かつ、通常の販売価額のおおむね70%以上の価額で値引販売する商品等
 残業宿日直者の食事(基通36―24)
 通常の勤務時間外における残業、宿日直者に対して支給する食事
 掘採場勤務者に支給する燃料(基通36―25)
 掘採場勤務者に対して厚生施設の設置に代えて支給する燃料
 寄宿舎等の光熱費の負担(基通36―26)
 寄宿舎等の生活に通常必要な電気、ガス、水道の使用料で各人ごとの使用部分の金額が不明のもの
 金銭の無利息貸付け等(基通36―28)
(1)  災害等による臨時多額の生活資金の貸付けを受けたことによる利息相当額の経済的利益
(2)  使用者における借入金の平均調達金利など合理的な借付利率により利息を徴している場合に生じる経済的利益
(3)  (1)及び(2)以外の貸付けによる経済的利益で年間5,000円以下のもの
 用役の提供等(基通36―29)
 事業として行っている用役の無償又は低い対価での提供(多額なもの又は役員だけを対象とするものを除きます。)
 レクリエーション費用の負担(基通36―30)
 社会通念上一般に行われているレクリエーションの費用(任意の不参加者に金銭を支給する場合や役員だけを対象とする場合を除きます。)
 生命保険料等の負担(基通36―31関係)
 使用者が負担した役員又は使用人を被保険者とする生命保険等の保険料で一定の要件に該当するもの
 少額な保険料の負担(基通36―32)
 保険料等の負担でその月中の金額が300円以下のもの
 損害賠償金等(基通36―33)
 使用者が負担する役員又は使用人の行為に基因する損害賠償金等で、その行為が使用者の業務の遂行に関連するものその他一定の要件に該当するもの
 ゴルフクラブの入会金(基通36―34)
(1)  法人会員として入会した場合の入会金で役員又は使用人が専ら法人の業務に関連して利用するもの
(2)  無記名式の法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合の入会金で、その入会が法人の業務遂行上必要と認められ、かつ、その入会金を法人が資産に計上したもの
 ゴルフクラブの年会費等(基通36―34の2)
(1)  その入会金が法人の資産として計上されている場合の年会費等
(2)  使用者の業務遂行上必要と認められるプレー代等
 レジャークラブの入会金等(基通36―34の3)
(1)  使用者が負担する入会金で上記ワに準ずるもの
(2)  使用者が負担する利用費用で上記カに準ずるもの
 社交団体の入会金、経常費用等(基通36―35)
(1)  法人会員制度がないため役員又は使用人を個人会員として入会させた場合の入会金及び経常費用で、その入会が法人の業務の遂行上必要であると認められるもの
(2)  (1)の経常会費以外の費用で、その費用が法人の業務遂行上必要であると認められるもの
 ロータリークラブ等の入会金、経常会費等(基通36―35の2)
(1)  入会金及び経常会費
(2)  経常会費以外の費用でその会員である特定の役員又は使用人が負担すべきものと認められるもの以外のもの
 食事の支給(基通36―38の2)
 給与所得者がその食事の価額の2分の1以上を負担し、かつ、使用者の負担額が月額3,500円以下のもの
 深夜勤務者の夜食代(昭59直法6―5)
 深夜勤務者の夜食代(金銭)で勤務1回につき300円以下のもの
 貸与住宅(社宅)(基通36―41ほか)
 使用者が役員又は使用人に貸与した住宅等の経済的利益(家賃相当額)で一定の要件に該当するもの
 宿日直料(基通28―1)
 勤務1回につき4,000円(食事が支給される場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までのもの
 学資金等(基通9―14、9―15、9―16)
 学資金、職務上の知識、技術等を習得させるための費用で一定の要件を満たすもの
 祝金品、見舞金等(基通28―5、9―23)
 祝金品、見舞金等で社会通念上相当なもの

 

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