目次 Q1-1


現物給与の意義と範囲

Question1-1

 現物給与として所得税の課税対象となるものの範囲は非常に広い範囲に及んでいるように思いますが、まず、この現物給与の意義と範囲についてお尋ねします。


Answer

 源泉徴収の対象となる給与所得の収入金額には、金銭で収受するものだけに限らず、金銭以外の物品や権利その他経済的な利益により収受するものも含まれることになっており、これを一般に現物給与(所得税基本通達では「給与等とされる経済的利益」)といっています。

 これを形態によって分類してみますと、次のようになります(基通36―15)。

(1)  物品その他の資産の譲渡を無償で受けた場合におけるその資産のその時の価額又はその譲渡を低い対価で受けた場合におけるその価額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益……これには、例えば、会社の製品や商品などの値引販売とか、食事の無償支給による利益のほか、会社から有価証券や不動産の低額譲渡を受けたことによる利益などがあります。

(2)  土地、家屋その他の資産(金銭を除きます。)の貸与を無償で受けた場合における通常支払うべき対価の額又はその貸与を低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益……これには、例えば、低額の家賃で社宅の貸与を受けたことによる利益などがあります。

(3)  無利息で金銭の貸付を受けた場合における通常の利率により計算した利息の額又は通常の利率よりも低い利率で借り受けた場合における通常の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額に相当する利益……これには、例えば、会社から無利息又は低利で厚生資金や住宅資金の貸付を受けたことによる利益などがあります。

(4)  (2)又は(3)以外の用役の提供を無償で受けた場合におけるその用役について通常支払うべき対価の額又はその用役の提供を低い対価で受けた場合における通常支払うべき対価の額と実際に支払う対価の額との差額に相当する利益……これには、例えば、会社の保養所とか理髪室などの福利厚生施設を無償又は安い料金で利用したことによる利益などがあります。

(5)  借入金その他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額に相当する利益又は債務の負担をしてもらった場合(個人的費用の負担をしてもらった場合を含みます。)におけるその負担をしてもらった金額に相当する利益……これには、例えば、会社から借り入れた厚生資金などの返済を免除されたことによる利益や会社に税金を負担してもらったことによる利益などがあります。

 

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