V-1 |
V.JV(共同企業体)・連結納税・税務調査 |
1 JV(共同企業体)と交際費・寄附金 |
(1)JVの法的性質 JV(共同企業体)とは、複数の建設業者が共同で工事を受注し、施工完成させるためにつくった組織体のことをいいます。その法的性質は、一般に民法上の組合であるとされています。ここでは、税務調査の重点業種とされる建設業において、特徴的な形態であるJVに関連して解説しておきます。 (2)JVの交際費・寄附金 JVは民法上の組合として考えられています。法人が任意組合から分配を受ける利益等の額の計算については、次に示す3通りの方法が認められています。
(A)の方法で処理する場合には、JVの利益の額または損失の額×出資持分割合に相当する額が、各構成員の損益計算書に計上されます。この場合には、JVが支出した交際費等や寄附金が、各構成員の損益計算書に反映されないことになります。 そこで税務上は、JVを資本または出資を有しない法人とみなして交際費等及び寄附金の損金不算入額を織り込んだ上で、各構成員への分配額を計算することになっています。 したがって、各構成員においては、現実に分配を受ける金額を超える額を所得計算に反映させる必要があります。これについては申告調整で加算(処分は社外流出)することにより行うことになります。なお、各構成員の交際費等や寄附金に損金算入限度額まで余裕がある場合でも、それに含めることはできません。 (B)または(C)の方法で処理する場合には、JVが支出した交際費等または寄附金×出資持分割合に相当する額が、各構成員の損益計算書に交際費等及び寄附金として反映されることになります。そこで各構成員においては、これらを含めて交際費等及び寄附金の損金算入限度額計算を行うことになります。 なお、JV工事における損益の認識は、通常、上記(B)の方法によることになります。したがって、JVにおいて支出された交際費等及び寄附金については、協定書にもとづく出資持分割合に応じ、構成員各社の交際費等及び寄附金として認識されることになります。 税務調査においては、構成員各社が、協定書にもとづく出資持分割合によって適切に処理されているかどうかが問題となります。 |