目次 Q6


Question
 諸税金に関する会計処理および表示
 諸税金に関する会計処理および表示について会社法上の取り扱いを教えてください。

Answer
ポイント (1) 損益計算書上の法人税等の表示については、会社計算規則で定められています。
(2) 法人税等に関する会計処理および表示については、日本公認会計士協会監査・保証実務委員会報告第63号「諸税金に関する会計処理および表示と監査上の取扱い」に準拠することになります。
(3) 繰延税金資産と繰延税金負債の表示については、会社計算規則に定めが置かれています。


 法人税等の表示

 会社計算規則が要求する損益計算書上の法人税等の表示について、具体的な記載例で示しますと次のとおりです(計規93丸数字1)。

個別損益計算書
 税引前当期純利益
 法人税、住民税及び事業税
 法人税等追徴額
 法人税等調整額
 当期純利益
   ×××
××
××
××
×××
 
連結損益計算書
 税金等調整前当期純利益
 法人税、住民税及び事業税
 法人税等調整額
 少数株主利益
 当期純利益
   ×××
××
××
××
×××

 なお、法人税等の更正、決定等による納付税額または還付税額がある場合には、「法人税、住民税及び事業税」の次に、その内容を示す名称を付した項目で表示することになりますが、金額の重要性が乏しい場合は、「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示してよいこととされています(計規93丸数字2)。


 法人税等に関する会計処理および表示

 会社計算規則は、損益計算書における法人税等の表示についてのみ指示しているため、その他の項目については、日本公認会計士協会監査・保証実務委員会報告第63号「諸税金に関する会計処理及び表示と監査上の取扱い」を適用することになります。その主な項目をまとめてみますと次のとおりです。

項 目 取り扱い
未払法人税等  法人税、住民税及び事業税(利益に関連する金額を課税標準として課される事業税以外の事業税を含む。)の未納付額は、「未払法人税等」として貸借対照表の流動負債の部に記載する。
受取利子・配当等に
課される源泉所得税
 受取利子・配当等に課される源泉所得税のうち、法人税法および地方税法上の税額控除の適用を受ける金額は、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」に含めて処理する。税額控除の適用を受けられない金額は、営業外費用として処理する。ただし、その金額の重要性が乏しいと認められる場合には、税額控除の適用を受ける金額と同様に処理することができる。
利益に関連する金額
を課税標準とする事
業税以外の事業税
 当該事業年度の利益に関連する金額を課税標準とする事業税以外の事業税は、原則として、損益計算書上、営業費用項目として処理し、その未納付額は「未払法人税等」に含めて表示する。
事業所税(事業に係
る事業所税)
 当該事業年度の事業に係る事業所税は、損益計算書の製造原価項目または営業費用項目とし、その未納付額は、「未払事業所税」等その内容を示す適当な名称を付した科目で貸借対照表に表示する。ただし、その金額が重要でない場合には、未払金その他適当な科目に含めて表示することができる。


 繰延税金資産等の表示

 繰延税金資産および繰延税金負債は、これらに関連した資産または負債の分類に基づいて、繰延税金資産については流動資産または投資その他の資産として計上し、繰延税金負債については流動負債または固定負債に計上します。ただし、特定の資産または負債に関連しない繰延税金資産または繰延税金負債については、事業年度の末日の翌日から起算して1年内に取り崩されると認められるものは流動資産または流動負債とし、それ以外は投資その他の資産または固定負債として表示しなければなりません(計規74丸数字3一タ、75丸数字2二ニ)。

 また、流動資産に属する繰延税金資産の金額および流動負債に属する繰延税金負債の金額については、その差額のみを繰延税金資産または繰延税金負債として流動資産または流動負債に表示しなければならないとし(計規83丸数字1)、固定資産に属する繰延税金資産の金額および固定負債に属する繰延税金負債の金額についても、その差額のみを繰延税金資産または繰延税金負債として固定資産または固定負債に表示しなければならないとしています(計規83丸数字2)。

 

目次