目次 II-3


3 指名債権の譲渡

 指名債権とは、債権者が誰であるか特定しており、債権の成立・譲渡のために証書の作成・交付を要しないものをいいます。手形・小切手のように証券化した債権以外の債権ということになり、普通に「債権」と呼ばれるものです。

 「指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない」とされています(民法467条1項)。債権譲渡は、物権変動と同様、譲渡人と譲受人の契約によって債権移転の効果を生じますが、その効果を債務者その他の第三者に対抗するためには、譲渡人が債務者に通知するか、債務者が承諾しなければならないということです。

 そして、債務者以外の第三者に対抗するためには「確定日付のある証書」による債務者への通知、または債務者の承諾が必要とされています(民法467条2項)。

 すなわち、債務者に対する対抗要件としては口頭でも書面でもよいが、債務者以外の第三者に対しては、「確定日付ある証書」による必要があるのです。

 「確定日付のある証書」というのは、民法施行法5条に列挙されている証書をいい、公正証書のほか、通常利用されるのは内容証明郵便です。通知行為または承諾行為について「確定日付ある証書」を必要とするということで、通知または承諾があった旨を「確定日付ある証書」によって証明せよという意味ではありません。

 なお、「通知」は債権譲渡人から債務者に対して通知しなければならず、譲受人が債務者に通知しても効力はありません。

 

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