目次 Q4


Q4 外形標準課税の目的


Question

 外形標準課税導入の目的は何ですか。



Answer

ポイント 法人事業税への外形標準課税の導入の目的として、(1)税負担の公平性の確保、(2)応益課税としての税の性格の明確化、(3)地方分権を支える基幹税の安定化、(4)経済の活性化、経済構造改革の促進などがあります。



解説

 従来の法人事業税は、基本的には法人の所得に対して課税する仕組みとなっています。そのため景気変動の影響を受けやすく、景気が低迷してくると、法人事業税収入が大幅に落ち込むこととなりました。しかし、地方団体の各種の行政サービスは、教育など安定的に行わなければならないものが多いので、地方税収入は安定的でなければいけません。

 そこで、法人事業税について、事業規模ないし活動量などを示す何らかの外形基準によって課税する仕組みに変更し、税収の安定化を図ることが検討されてきました。

 法人事業税への外形標準課税の導入の目的としては、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化、経済構造改革の促進などをあげることができます。


1.税負担の公平性の確保

 現在、赤字などが原因で課税ベースとなる所得のない欠損法人は、全法人の6割を超えています。欠損法人といえども、地方団体が提供するサービスを受けている以上、その受益額に応じて税を負担しなければなりません。課税標準に外形基準が導入されれば、欠損法人を含め、各法人が事業活動規模に応じて税を負担することとなり、応益主義にもとづくより公平な税制の構築につながります。


2.応益課税としての税の性格の明確化

 法人事業税は、法人が地方の行政から受ける幅広いサービスに着目して、事業に対して課される税であることから、その課税標準は、法人の事業活動の規模をできるだけ適切に表すものであることが望まれます。

 所得を課税標準とする従来の法人事業税は、事業活動の規模が課税標準に適切に反映されず、本来の応益課税の性格からみて望ましいあり方になっていなかったといえます。外形標準課税の導入は、税の性格の明確化を図る観点からも、大きな意義を有する改革となります。


3.地方分権を支える基幹税の安定化

 地方の行政サービスは、安定的に供給されることが必要です。地方団体がその責任を十分に果たすためには、自主財源の根幹をなす地方税は、できるだけ安定的で、変動の少ないものであることが望まれます。所得を課税標準として課税すると、景気変動の影響を受けやすく、税収が不安定になります。 法人事業税への外形標準課税の導入は、税収の安定性を向上させるとともに、地方財政の自主性を高めることとなり、地方分権を支える地方税体系の構築に重要な役割を果たすことが期待されます。

 また、国税と地方税の税収配分比率はほぼ6対4に対して歳出面における国と地方の割合はほぼ4対6と逆転しており、税収は国に偏重しています。地方自治重視の観点からも、外形標準課税の導入は地方税を充実させ、地方団体の自立的な運営が期待されます。


4.経済の活性化、経済構造改革の促進

 外形標準課税の導入は、これまで課税を免れてきた欠損法人にも受益に見合う税負担を課すことにより、全体的に広く薄く税負担を分担する仕組みに改革していくことです。このことは所得に係る税負担を相対的に緩和することとなり、より多くの利益をあげることを目指した事業活動を促し、企業経営の効率化や収益性の向上に資すると考えられ、経済構造改革につながることが期待されます。

外形標準課税の目的
(1)税負担の公平性の確保 欠損法人も含め、受益に応じて税を負担する
(2)応益課税としての税の性格の明確化 行政サービスの受益関係に着目して課税
(3)地方分権を支える基幹税の安定化 景気変動の影響を受けない安定的な税収の確保
(4)経済の活性化、経済構造改革の促進 広く薄く税負担を分担し、企業経営効率化や収益性の向上に資する

 

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