目次 Q3


Q3 外形標準課税の必要性


Question

 なぜ今外形標準課税が必要なのですか。



Answer

ポイント バブル経済崩壊後、地方税収入が減少し、地方財政が成り立たなくなっています。法人事業税の課税標準に外形基準を導入することによって、税収の安定化、企業経営の効率化、税負担の公平化が期待されます。



解説

1.税収の安定化

 法人事業税の税収は、地方団体の重要な財源となっていますが、その課税標準が原則として法人の所得とされていることから、税収が景気の動向に左右され不安定なものとなっています。安定した行政サービスを提供するためには、安定した税収構造が必要です。しかしバブル経済崩壊後から地方税収入は減少し、図のように地方債残高は急激に膨らんでいます。地方財政はまさに火の車です。


 法人は、赤字・黒字を問わず、地方の行政サービスを同じように受けているわけですから、地方税を広く公平に負担する制度の構築が望まれます。経済が順調で、黒字会社の方が多ければ税負担も平準化され問題になりません。しかし不況が長引き赤字会社の方が多くなり、一部の黒字会社のみが税を負担し、税負担の不公平の問題が大きくなっています。

 そこで、法人事業税の課税標準として外形基準が注目されてきました。これは、法人の事業活動規模を外観から客観的に判断できる課税標準にもとづいて法人事業税を課税するというもので、景気の好況・不況、法人の黒字・赤字の影響を受けにくくし、税収の安定性を向上させることができます。具体的には、資本金又は出資金、売上高、収入金額、経費(又は特定経費)、事業所家屋床面積、事業所用地面積、事業用固定資産評価額、従業者数、給与総額、付加価値(加算法)、付加価値(控除法)といった各種の基準を課税標準とするものです。

 課税標準を固定的な外形基準とすることによって、税額が固定化され、税収を安定化することができます。


2.企業経営の効率化、税負担の公平化

 企業の国際的な競争が激しくなる中、わが国の経済構造を改革して、国際競争力を強化し、活力ある社会を築いていくことができるようにするため、企業が努力し、利益をあげる意欲を阻害しないような環境を整えることが重要になってきます。外形標準課税の導入により、税負担が薄く広くかつ安定的なものとなることは、企業にとっても計画的な経営を行いやすく、所得に係る税負担が相対的に緩和されることが期待できるので、所得に比例して税負担が増加する従来の制度よりも、外形基準による課税の方が、より多くの利益を上げることを目指した事業活動を促し、企業経営の効率化や収益性の向上につながることにもなります。

 法人事業税への外形標準課税の導入を図り、薄く広く税負担を分担する仕組みに改革していくことは、こうした経済構造改革にも資するものであり、税負担の公平化につながると考えられています。

 

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