目次 VI-4


4 他の所得との損益通算ができない譲渡損失

 通常、各種所得の金額に損失がある場合は、他の黒字の各種所得の金額との損益通算を行いますが、次に掲げる損失については、他の各種所得の金額との損益通算はできないこととされています。

(1)  配当所得、 一時所得及び雑所得の金額の計算上生じた損失(所法69(1)、所令198)
(2) 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失(措法37の10(1))
(3)  生活に通常必要でない資産の譲渡損失
 生活に通常必要でない資産(次に掲げるものに限ります。)の災害による損失は一定の定めにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又は、その翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除できますが、それ以外のもの及び控除しきれないものは生じなかったものとみなされ、譲渡により生じた損失は、他の種類の所得の金額との損益通算はできません(所法62、69(2)、所令200(1)(2))。
 なお、「生活に通常必要でない資産」とは、主として個人の趣味や娯楽又は保養のために所有している次のような資産をいいます(所法62(1)、所令178)。
 競走馬(事業と認められるものの用に供されるものは除きます。)その他射こう的行為の手段となる動産
 別荘などの通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産
 生活の用に供する動産で、生活に通常必要とされないもの及び次のいずれかに該当するもの(1個又は1組の価額が30万円を超えるものに限ります。)
(イ)  貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
(ロ)  書画、骨とう及び美術工芸品
注釈
 上記イのかっこ書の事業と認められるものの用に供している競走馬の譲渡損失は、損益通算ができます(所令200(1))。
 なお、競走馬の保有に係る所得を雑所得(事業と認められないもの)として申告している場合の競走馬の譲渡損失はその保有に係る雑所得との間においては損益通算ができます(所令200(2))。

 

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