目次 III-1,2


III.確定申告をすれば税金が戻る人


1 税金が納め過ぎになっている人

 確定申告をしなくてよい人でも、源泉徴収された税金や予定納税をした税金が納め過ぎになっている人は、還付を受けるための申告書を提出することができます。この申告書は、2月15日以前でも税務署で受け付けていますので、混雑する 申告時期を避けて、なるべく早めに申告して税金の還付を受けるとよいと思います(所法122(1))。
 特に、次のような人は、税金が納め過ぎになっていないかを確かめる必要があります。

(1)  平成9年分の所得が少ない人で、配当所得や原稿料などがある人
(所得が少ないため、他の納税者の控除対象配偶者又は扶養親族とされた人でも、還付申告をすることができます。)
(2)  所得税額の計算上引き切れない外国税額控除の額がある人
(3)  申告納税額の計算上引き切れない源泉徴収税額がある人
(4)  予定納税額の合計額が申告納税額より多い人
(5)  給与所得者のうち、次のような人

(a)  年の中途で退職した後就職しなかった人で、年末調整を受けなかった人
(b) 災害により住宅又は家財について甚大な損害を受けたため、災害減免法の規定により所得税額の軽減又は免除を受けることができる人(災免法2)
(c)  雑損控除(災害・盗難・横領)、医療費控除又は寄付金控除などの適用を受けることができる人
(d)  配当控除、住宅取得等特別控除、政党等寄付金特別控除の適用を受けることができる人
(e)  退職所得の支払を受ける際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため、20%の税率で源泉徴収された人

 なお、年末調整を受けた給与所得者で他に申告する所得のない人が、源泉所得税の還付を受ける場合には、「給与所得者の還付申告用」の簡略化された確定申告書が用意されています(所規47の4)。

注釈
 次の人はこの還付申告書ではなく、別の申告書(一般用、分離課税用)を使うことになります。
(イ)  災害を受けた人で「災害減免法」により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人及び確定申告で「災害減免法」により還付を受けようとする人
(ロ)  雑損控除の控除不足額を平成10年以後の所得金額から控除しようとする人
(ハ)  予定納税がある人

 また、公的年金等の受給者で、公的年金等の雑所得以外に申告すべき所得のない人が、公的年金等に係る源泉所得税の還付を受ける場合には、平成4年分の確定申告からは新しく作成された「公的年金等のみの人用の申告書」を使用することになります。

注釈
 次の人はこの申告書ではなく、別の申告書(一般用、分離課税用など)を使うことになります。
(イ)  公的年金等の雑所得以外に申告すべき所得のある人
(ロ)  雑損控除、寄付金控除、小規模企業共済等掛金控除、勤労学生控除、住宅取得等特別控除、政党等寄付金特別控除、外国税額控除の適用を受ける人
(ハ)  災害を受けた人で「災害減免法」により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた人及び確定申告で「災害減免法」により所得税の減免を受けようとする人
(ニ)  雑損控除の控除不足額を平成10年以後の所得金額から控除しようとする人
(ホ)  税務署から通知を受けた予定納税額がある人
(ヘ)  所得税で総合課税されない非居住者期間中の国内源泉所得のある人


2 損失がある人

 上記1以外の場合でも、次の(1)〜(3)の理由に該当する人は、純損失や雑損失の繰越控除、純損失の繰戻しによる還付を受けようとする場合には、損失申告をすることができますが、この「損失申告用の確定申告書」は、期限内に提出することが要件となっていますので注意してください(所法70(4)、71(2)、123、140)。
(1)  その年に純損失の金額が生じている人
(2)  その年の雑損失の金額が所得の合計額を超えている人
(3)  その年の前年以前から繰り越された純損失や雑損失の金額の合計額が、所得の合計額(分離課税の譲渡所得がある場合は、特別控除額控除前の金額)を超える人

注意
 「雑損失の金額」とは、雑損控除の対象となる損失の額(保険金等で補てんされる金額を除きます。)について、次の算式によって計算したAとBの金額のうちいずれか多い方の金額をいいます。
A=その年の損失の額−総所得金額等の合計額×10%
B=その年の損失の額のうち災害関連支出の金額−5万円

 翌年以後に繰り越される純損失等の金額がある人で、株式等に係る課税譲渡所得等の金額がある人は、損失申告用の確定申告書に必ず申告書付表(損失申告用)を添付して提出してください。

 

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