目次 第3章 第1節 1−(4)


1.解散事業年度の税務

(4) 解散事業年度における適用除外

 解散事業年度は、原則として、通常所得課税により法人税額を課することは前述のとおりである。従って、その事業年度の益金の額から損金の額を控除することにより所得金額を計算し、税率を乗じることによって法人税額を計算することとなる。ただし、法人税法は、会社が将来にわたり存続するいわゆる継続企業であることを前提として規定されているものが多い。そのため、解散し清算事務を行うことが今後の主な目的である法人に対しては、継続企業に認められる特例が一部適用できなくなる。

 以下のものについては、解散事業年度において適用がないため留意が必要である。


A 特別償却及び特別控除関係

 特別償却及び特別控除は、企業の設備投資活動を活発にすることを主な目的として創設されたものである。解散をした継続企業を前提としない法人については適用する必要がないと考えられるため、一部の規定については、解散事業年度において適用されないものがある。


B 準備金関係

 準備金は、今後法人が事業を行っているうえで必要な積立てであることから、解散をした継続企業を前提としない法人については必要ないと考えられるため、一部の規定については、解散事業年度において適用されないものがある。

 また、解散事業年度において、その解散の日における準備金全額を取り崩し、益金算入しなければならない。


C 圧縮記帳の特別勘定

 圧縮記帳は、資産を一定期間内に取得する等の一定の要件のもとに課税の繰延べを行うものである。それに対し、特別勘定は、その期間内に取得することができなかったため実際に取得する事業年度まで課税を繰り延べようとするものである。

 解散事業年度において、通常の事業年度同様に圧縮記帳自体は適用されるが、特別勘定を適用するということは資産の取得が清算事業年度となるため、一部の規定については適用されないものがある。また、解散事業年度において特別勘定を有している場合には、その特別勘定の金額全額を取り崩し、益金算入しなければならない。

 

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