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6 連結計算書類

Question

 連結計算書類はどのような場合に作成されますか。

Answer

 大会社で、かつ、証券取引法の規定による有価証券報告書作成会社には、連結計算書類の作成が強制されます。また、それ以外の会社も任意で連結計算書類作成会社になることもできます。連結計算書類作成会社は、連結配当規制会社となれます。



【解 説】


1 連結決算書類の作成の意味

 会社法は、事業年度末で、大会社で、かつ、有価証券報告書を提出する義務のある会社には連結計算書類の作成を義務付けました(会444(3))。さらに、会社法は、その他の会社についても、連結計算書類作成会社になることを認めました(会444(1))。

 ただし、連結計算書類の作成は複雑であり、不確かな連結計算書類を開示した場合は投資家などの利害関係人の判断を誤らせる可能性があるので、会計監査人の設置が条件になっています。


2 連結計算書類の種類

 会社法における連結計算書類は、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書並びに連結注記表です(会計規93)。

 連結財務諸表規則で作成することを要求されているのは、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結剰余金計算書並びに連結キャッシュフロー計算書です(連結財務諸表規則1(1))。

 会社法において連結キャッシュフロー計算書の作成を要求しないのは、証券取引法の連結財務諸表が、株主総会終了後に提出される書類であるのに対し、会社法の連結計算書類は株主総会招集通知の添付書類として、株主総会の会日の2週間前に発送されるからであり、コスト削減を考慮したためです。


3 連結計算書類作成会社の配当規制

 連結計算書類を作成している会社は、連結配当規制会社になることができます。その場合は、親会社の分配可能額と連結ベースでの分配可能限度額のうち、いずれか低い金額を分配可能額とすることができます(会計規2(3)七十二、186(4))。

 個別財務諸表ベースではなく、連結財務諸表ベースで企業価値を判断することが主流となってきたことから、配当可能額も連結ベースで行うことが合理的であると考えるからです。ただし、親会社の分配可能額よりも連結ベースでの分配可能額が大きい場合も親会社の分配可能額が限度になります。これは、配当を払いすぎることにより親会社の債権者の債権の担保となる財産が流出することを防ぐためです。

 連結配当規制適用会社になるためには、注記表に連結配当適用会社となる旨を記載すればなれます(会計規143)。

 連結配当規制適用会社となれば、親会社の分配可能額が減少するというデメリットがあります。しかし、連結配当規制適用会社になれば、子会社が他の子会社から親会社株式を取得することが許されるというメリットがあります(会135(2)五、会施規23(12))。

 また、簿価債務超過の子会社を消滅会社とする組織再編を行う場合は、通常説明義務がいりますが(会795(2)一)、連結配当規制会社の場合は、説明義務が不要であり、簡易組織再編の要件を満たしている場合は、親会社の取締役会決議だけで組織再編が可能になります(会796(3)、会施規195(3)〜(5))。子会社の欠損が既に分配可能額から差し引かれているので、合併による分配可能額の影響を受けないからです。

 

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