I-Q3 |
Q3 実地棚卸しの重要性 |
棚卸しの対象資産である商品等は金額的に大きい重要な項目ですが、現金・預金等のように現金そのものや銀行の残高証明などの外部証拠との突合による一致の確認が通常できません。また、評価の客観性が保証しにくいという特性があり、粉飾決算に利用されがちな項目です。もちろん粉飾の意図がない場合でも、実地棚卸しを誤計上したときは利益に直接的な影響が出るため、利益をもとに計算する税金はもちろんのこと、経営計画にまで影響を与えることになります。 同時に、棚卸しには資産の管理方法等の業務改善に役立つ情報を得るという側面もあり、効率的な棚卸しのできる会社ほど正確性が高いものです。
適正な棚卸しを行うためには、棚卸し方法を具体的に定めるとともに、日程、人員等のスケジュールや商品等配置図を作成し、担当者全員に周知徹底する必要があります。具体的には、次のような目的の帳票を必要に応じて作成・利用する必要があります。
棚卸しについての一般的な注意点としては、次のことがあげられます。
製品ライフサイクルの短縮化、短納期化といった成熟社会においては、在庫管理の重要性が増大しています。商品(資材)を必要とする時期、必要量、適正価格で購買し出荷することが全社的なコストダウンの決め手になります。在庫管理制度を利益獲得に貢献するツールとするために、棚卸し情報を活かすことが重要となってきます。 同時に棚卸し品の管理を効率的に行うために、ABC(パレート)分析を行い、重要性の高いA品目は定期発注方式、重要性の低いC品目には簡易なダブルビン方式(ビンを2つ用意しておき、ひとつが空になった時にひとつ分発注する方法)、中間のB品については定量発注方式で対応することなども棚卸し情報から読み取る必要があります。どの業務にも共通のことですが、問題意識を持ち重要性のあるものに経営資源を投入することが業務改善の要諦です。 |