目次 II-3


3.売却時の会計処理及び税務調整

 Question2-3

 当社は、売買目的有価証券として保有しているA社株式6,000(譲渡原価)を、9,000(売却価額)で証券会社を通じて売却しました。譲渡収益の計上日はいつになりますか。また、売却時及び期末での会計処理はどのようになりますか。


・約定日:X3年3月30日
・決算期:X3年3月31日
 A社株式の時価 8,500
・受渡日:X3年4月2日

有価証券売却益は、約定日基準及び修正受渡日基準については3月30日の約定日に計上、受渡日基準については4月2日の受渡日に計上します。
また、有価証券は、約定日基準については3月30日の約定日に減少し、修正受渡日基準及び受渡日基準については4月2日の受渡日に減少します。


 Answer

1 約定日基準

 X3年3月30日の約定日に有価証券の売却の会計処理を行います。

 [X3年3月30日:約定日]
  未収入金 9,000      有価証券  6,000
 有価証券売却益  3,000

  [X3年3月31日:決算期]
  仕訳なし

 [X3年4月2日:受渡日]
  現金預金 9,000   / 未収入金     9,000


2 修正受渡日基準

 X3年3月31日の期末には、有価証券が未引渡しとなっているため、約定日に有価証券の売却損益だけを計上する会計処理を行います。

 [X3年3月30日:約定日]
  有価証券 3,000   / 有価証券売却益 3,000

 [X3年3月31日:決算期]
  仕訳なし

 [X3年4月2日:受渡日]
  現金預金 9,000   / 有価証券 9,000


3 受渡日基準

 X3年4月2日の受渡日に有価証券の売却に関するすべての会計処理を行います。ただし、売買目的以外の有価証券については、売り約定日までに発生した評価差額を受渡日まで資本の部に計上し、受渡日に有価証券売却益として処理します。

 なお、決算期に認識する有価証券評価差額は、売り約定金額と取得価額との差額です。

 [X3年3月30日:約定日]
  仕訳なし

 [X3年3月31日:決算期]
  有価証券 3,000        / 有価証券評価差額 3,000

 [X3年4月2日:受渡日]
  現金預金 9,000     有価証券 9,000
  有価証券評価差額 3,000  有価証券売却益 3,000

 

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