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4.退職一時金と適格退職年金を区分する場合 |
1 退職一時金部分 区分計算書を添付した場合、退職給付引当金のうち退職一時金に係る引当金部分だけを退職給与引当金に読み替えて法人税法の規定を適用します。これによれば退職一時金に係る退職給付費用のうち法人税法上の退職給与引当金繰入限度額を超える部分は損金不算入となります。また、退職による取り崩すべき金額はその退職者の前期末要支給額のうち、退職給与に達するまでの金額です(法令107(2)一)。なお、その退職者に係る前期末要支給額を超えて取り崩した場合でも、その取り崩した金額が退職給与の額に相当する金額以下である場合には目的外取崩しに該当しません(法基通11−4−15)。 〈繰入限度額の計算〉
2 適格退職年金部分 区分計算書を添付した場合、適格退職年金部分に係る退職給付引当金の繰入れ又は取崩しは、法人税法上の退職給与引当金の繰入れ又は取崩しとして取り扱わないこととされます。したがって、退職給付引当金繰入額(退職給付費用)は全額損金不算入とし、退職給付引当金取崩し額は全額益金不算入として、法人税の所得計算に影響させないこととします。もとより、掛金拠出額は会計処理にかかわらず拠出した事業年度の損金に算入されます(法令135)。退職給付会計では掛金拠出の会計処理が費用計上取引となりませんので、掛金拠出額を減算留保することによって損金に算入することになります。 別表4
別表5(1)
別表11(3) 別表5(1)の(5)の退職給付引当金(退職一時金)に係る翌期首利益積立金526と別表11(3)の(20)(退職給与引当金の期末現在額のうち前期末までに益金の額に算入された金額)と(13)(当期の限度超過額合計)の合計526(33+493)が一致します。別表11(3)の(26)の期末退職給与引当金174は、退職給付引当金の退職一時金部分(19)700と退職給付引当金(退職一時金)の翌期首利益積立金額(別表5(1)(5))526の差額と一致します。この金額174は退職給付引当金のうち損金算入により引き当てられた部分を意味しています。 なお、このようなケースの各別表の記載方法はいくとおりもあると思いますが、ひとつのサンプルとして挙げています。 3 厚生年金基金制度の場合 外部拠出型退職年金制度のもう一方の形態である厚生年金基金制度を導入している場合も、適格退職年金制度を導入している場合と同様に、厚生年金基金の掛金又は徴収金を計算対象月の末日に損金算入することができます(法基通9−3−2)。したがって、申告書の記載は上記と同様になります。 |