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ワラント債とは?

 ワラント債とは、新株引受権(ワラント)のついた社債です。 その中味は、社債部分とワラント(新株引受権)部分とに分けられますが、この2つが分離できるのが分離型、分離できないのが非分離型です。


ワンポイントアドバイス

 これまでは、将来の株式公開を予定している会社が、オーナーや後継者の持株割合を高めるため、しばしばワラント債(分離型)が利用されました。
 この場合には、ワラント債を発行する会社は資金調達を必ずしも必要としないのですが、株価の安い段階でオーナーなどに将来の新株引受権を与えておくために、社債を発行していたのです。
 そこで、この分離型ワラント債は、“疑似ストック・オプション”と呼ばれていました。しかし、今回、商法が改正されたので、今後は新株引受権方式によるストック・オプションが使われることになるでしょう。

事例で見るワラント債の動き・・ワラント債は、このように取引される!

(1) A社はワラント債(分離型)2億円を発行しました。
  そのワラント債は全額ベンチャーキャピタルであるB社が引き受けました。

(2) B社は2億円をA社へ振り込みました。
 【A社の仕訳】 現金預金 2億円  / 新株引受権付社債 2億円

(3) B社はワラント債のうち、ワラント部分だけをC氏へ200万円で売却しました。

(4) A社はB社に対して社債1.9億円を償還しました。

 【A社の仕訳】 新株引受権付社債 1.9億円 / 現金預金 1.9億円
 (注) 実務上は、社債は全額償還しないで、若干残すのが通例です。

(4) 5年後、C氏はA社に対しワラントの権利行使をして、新株の発行を受けることにしました。新株の発行価額は当初ワラント債発行の際に定めた1株当たり2,000円です。

(5) C氏はA社へ増資の払込みをしました。払込金額2億円、その資金は全額借入金で調達しました。発行価額1株2,000円、10万株。A社は、2億円のうち、半額の1億円を資本金に組み入れました。
 【A社の仕訳】 現金預金 2億円 資本金    1億円
資本準備金 1億円

(6) A社は株式を分割して1株当たりの額面金額500円を50円に変更しました。
  その結果、C氏がワラントで取得した株式数は10万株から100万株になりました。

(7) A社は株式を公開しました。
  公開時にC氏は株式を売却しましたが、その時には、ワラントで取得した株式は売却できないので、以前から所有していたものを売りました。

(8) 公開後1年経過してC氏はワラントで取得した自社株100万株のうち、20万株を売却しました。その時の時価は1,000円です。売却によって得た資金は2億円です。

(9) C氏はワラント取得のためにしていた借入金2億円を返済しました。(借入金には、利息がついている)

 

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