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ワラント債の課税は?

 ワラント債のうち、社債部分については受け取る利息に課税されます。 ワラント部分については、権利行使をした段階で払込価額が時価よりも安ければ(通常はそうなりますが)、その差額が経済的利益とみなされて、その差額について課税されることになります。
 ただし、一方では、ワラント債を発行する段階で予め決められた価格が、その時点で有利発行になっていなければ(時価より低くなければ)、後日、権利行使の際に、時価よりも低い価額での払込みがあっても、有利発行ではないから課税されないという説もあります。
 しかし、いずれにしても、現在のところ、税法上の明確な規定は設けられていません。

ワラント債の課税は、どうなるか

 ワラント債の課税は、(1)社債部分に対する課税と、(2)ワラント部分に対する課税に区分されます。

(1) 社債部分に対する課税は…
 社債の利子は利子所得となりますので、社債の利子を受け取る際に15%の税率(他に地方税が5%の税率)で源泉徴収されるだけで課税関係が完了する源泉分離課税とされています。


(2) ワラント部分に対する課税は…
 ワラント部分に対する課税は、新株引受権の権利を行使する段階で、払込価額が時価よりも低ければ、そこに発生する差額が経済的利益とみなされます。

 したがって、その経済的利益は、原則的には、会社が取締役に与えた報酬とされますので、給与所得として、所得税と住民税が課税されることになります。
 しかし、現在の税法には、まだ、これについての明文規定は設けられていません。

【図解】 ワラント部分の経済的利益に対する課税の仕組み


課税される場合とは…
 C>Aとなる場合、「C−A」の差額が経済的利益とみなされ、「課税対象」になります。(原則論による場合)

課税されない場合とは…
 AがBから見て安くなければ、即ち、有利発行になっていなければ、「課税されない」という説もあります。

(注) 現在のところ、税法上の取扱いについての明文規定は設けられていませんので、今後の税制改正の動きに注意してください。

 

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