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ストック・オプションの課税は?

 ストック・オプションによって株式を取得する権利を与えられた取締役や使用人は、一定期間経過後に、その権利を行使して、当初の安い約束価額で自社株を取得する(新株引受権方式の場合は、増資の払込みをする)ことになります。
 したがって、その取得時の株価(時価)は、予め定められた取得価額より高くなっているのが普通です。そのため、自社株取得時の時価と取得価額とに差額が生じます。その差額が取締役や使用人に対する経済的利益とみなされ、課税問題が生じることになります。
 また、取得した株式を売却した場合の譲渡益についても、課税問題が生じることになります。

権利行使時の経済的利益の課税は、どうなるか

 ストック・オプションで取得する自社株の取得価額(自己株式方式による場合は、「購入価額」、新株引受権方式による場合は、「払込価額」)と、その時の時価との間に差額が生じます。
 この差額は、会社が取締役や使用人に対して経済的利益を与えたものとみなされます。この経済的利益は、原則的には、その取締役や使用人の給与所得として、所得税と住民税が課税されることになります。この原則論による課税の仕組みを図解すると、以下のとおりです。
 なお、今回の改正商法後の課税の取扱いについては、まだ明文規定は設けられていませんが、新規事業法による認定会社が実施するストック・オプションによって新株を取得した場合の経済的利益については、一定の要件の下で所得税が課税されないこととされていますので、今後の税法改正の動向が注目されます。
(注) 新規事業法に係るストック・オプションについては、こちらを参照

【図解】 ストック・オプションによる経済的利益に対する課税の仕組み


自社株を売却した場合の譲渡益課税は、どうなるか

 株式を売却した場合の譲渡所得に対する課税は、現在の税法では、

(1) 20%(住民税は6%)の税率による申告分離課税(原則)
株式等に係る課税譲渡所得金額×20%(住民税6%)=所得税額

(2) 一定の上場株式等にあっては、選択により、上記(1)に代えて、他の所得と分離して譲渡利益金額の20%(住民税は非課税)の税率による源泉徴収で課税関係が完結する源泉分離課税
株式等の譲渡利益金額(=譲渡対価×5.25%)×20%=所得税額

 によることとされています。
 なお、今回の商法改正によるストック・オプションの課税上の手当ては、まだ行われていませんが、新規事業法による取得株式を譲渡した場合の取扱いは、上記(1)によることとされていますので、今後の税法改正の動向が注目されます。

 

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