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事業承継にどう活用するか

 企業グループを形成している中堅・中小企業の場合は、持株会社があると事業承継がスムーズに行えます。 ただし、事業承継が容易なだけに相続人間の紛争を引き起こすおそれもあります。

事業承継とは…

 事業承継とは、オーナー経営者が経営権を後継者に引き渡すことをいいます。
 具体的には、企業の株式を後継者に譲る(売買、相続、贈与などで)ことですが、企業グループを形成している場合には、各社毎に株式の引継ぎを要しますので、複雑で、かつ、面倒な手続きを要します。また、全社すべての足並みがそろわないこともあり、事業承継が不完全な形になることも考えられます。

【図解】オーナー経営者による経営権の引継ぎ(通常の場合)

オーナー経営者による経営権の引継ぎ(通常の場合)

持株会社があると…

 企業グループを統括する持株会社を作っておくと、各社毎に株式の引継ぎを行う必要がありません。

【図解】持株会社がある場合のオーナー経営者の経営権の引継ぎ


持株会社による事業承継のメリット・デメリット

 持株会社を利用した事業承継には、次のようなメリット・デメリットがあります。事業承継の実行に際しては、これらの長所・短所を十分に把握した上で対策を立案する必要があります。

メリット
  持株会社の株式だけを後継者に譲れば、グループ全体の支配権が移転できる。
  オーナー経営者が早期に第一線経営から引退でき、後継者の育成を通じて各社の管理が可能となる。

デメリット
  グループ全体の経営権が特定の後継者に譲られるため、相続人間で紛争が起こる可能性がある。
  例えば、A社を長男に、B社を次男に、C社を長女に譲ろうとする場合、持株会社があるとかえって面倒になる。
この場合には、相続時に持株会社を解散させる必要がある。

 

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