目次 II-Q15


Q15 役員退職金の活用


 Question 15

生前役員退職金は、相続面だけでなく、法人税、所得税の面でも効果があるそうですが、どのような効果がありますか。また、注意点も教えてください。

ポイント 役員退職金の支給は、株価の引下げ、法人税の節税、所得税の税負担が軽くなるというメリットがあります。


 Answer

■役員退職金の支給効果

 役員退職金は、その金額が過大でない限り、損金の額に算入することが認められています。したがって、役員退職金を支給することで、次のような効果を生むことができます。

 (1)  自社株を純資産価額方式で相続税評価する場合に、評価減の効果が大きく、株式の生前贈与等が容易になる。

 (2)  退職金をもらう役員は、退職所得として課税されるため、比較的税負担の少ない収入が得られる。

 (3)  会社の利益と相殺されるため、法人税の負担が少なくて済む。


■役員退職金の算定方法

 一般的な算定方法として、功績倍率方式があります。

 功績倍率方式とは、適正な退職金=最終報酬月額×在任年数×功績倍率でその役員退職金を計算する方法です。役員退職金が過大がどうかの判定は、一般に、同規模他社の功績倍率、退職に至った事情、在任中の功績等を勘案して行われます。したがって、過大役員退職金と判定されないためには、次のことに注意が必要です。

 (1)  役員退職金規程を作り、功績倍率を決めておく。

 (2)  月額報酬を高くしておく。

 通常、功績倍率は2〜3倍程度なら問題ないようですが、絶対ではありません。


■役員退職金の支給にかかる注意点

 (1)  役員退職金の支出が、定款、株主総会及び取締役会の決議に基づいていること。

 (2)  具体的に支給することが確定した日、又は実際に支給した日を含む事業年度において損金経理していること。

 (3)  退職金の額が、その役員の在任期間、退職に至った事情、同規模他社における役員退職金の支給状況などに照らして不相当に高い金額でないこと。

 (4)  退任後は、完全に第一線から退くか、オーナー社長などの場合は代表権のない会長等に就任するようにし、その場合の役員報酬の額は、退任直前の報酬金額の半分以下とすること。

 

目次 次ページ