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§3 日本型コーポレートガバナンス |
2 会社法におけるガバナンス 会社法では、株式会社と有限会社の規律を一体化したことにより、株式会社の機関設計の選択肢が拡大し、各会社の実情に応じて自由な機関設計が可能となりました。 会社法における機関設計は、株式譲渡制限有無および大会社に該当するか否かと大会社に該当するか否かにより、機関設計の選択肢が相違します。 機関設計の原則は、次のとおりです(会326〜328)。 |
・ |
株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない。 |
・ | 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。 |
・ | 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。 ◆1 公開会社 ◆2 監査役会設置会社 ◆3 委員会設置会社 |
・ | 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。 |
・ | 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。 |
・ | 委員会設置会社は、監査役を置いてはならない。 |
・ | 委員会設置会社は、会計監査人を置かなければならない。 |
・ | 大会社(公開会社でないものおよび委員会設置会社を除く。)は、監査役会および会計監査人を置かなければならない。 |
・ | 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。 |
それぞれの分類により選択可能な機関設計は次表のとおりです。 機関設計の選択肢 |
区分 | パターン | 株主総会 | 取 締 役 | 取締役会 | 監 査 役 | 会計参与 | 監査役会 | 三委員会 | 会計監査人 |
株式譲渡 制限大会社 以外 |
○ | ○ | ― | ― | ― | ― | |||
○ | ○ | ― | ○ | ― | ― | ||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | |||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○(注) | |||||||
○ | ○ | ○ | |||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
譲渡制限 大会社 |
○ | ○ | ○ | ○ | |||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
公開大会社 以外 |
○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | |||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
○ | ○ | ○ | ○ | ||||||
公開大会社 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
○ | ○ | ○ | ○ |
(注) | 会計参与は、基本的にはどの機関設計にも設定可能です。なお、このの場合のように、会計参与を設置した場合だけ、監査役の設置が省略できます。 |
機関設計は従来、原則として資本金等の規模により規律されているため、選択肢はほとんどなかったのですが、有限会社型を認めることや、すべての中小会社で会計監査人等の設置を認めること、さらに会計参与の制度の導入などもあり、株式会社の機関設計の選択肢は大幅に拡大され、それぞれの企業の特性に応じたガバナンス制度の設計が可能となっています。 |