目次 1-III-7


7.繰越欠損金に対する税効果会計の適用

(1) 欠損金発生年度

 税務上、繰越欠損金は社外流出項目です。しかし、翌期以降に繰り越すことで将来の納税額を減少させることができるので、税効果会計ではこれを一時差異に準ずるものとして取り扱います。

 なお、欠損金の繰越しは5年間しか認められません。その間に利益を計上できないときは切り捨てられます。そこで、繰越欠損金に税効果会計を適用するためには、将来の収益力、土地や株式の売却予定などに基づいた、税金の回収可能性を検討しなければならないこととされています。

設 例
 税引前当期損失  1,000万円
 実効税率  40%

仕 訳
  (借)繰延税金資産  400万円 (貸)法人税等調整額  400万円
    (注)1,000万円×40%=400万円

  損益計算書
       
税引前当期損失 △1,000万円
法 人 税 等 0万円
法人税等調整額 △400万円  400万円
当期利益 △600万円


(2) 欠損金補填年度

設 例
 税引前当期利益   1,000万円
 前期繰越損失 1,000万円
 実効税率   40%


仕 訳
  (借)法人税等調整額  400万円 (貸)繰延税金資産  400万円
    (注)1,000万円×40%=400万円

  損益計算書
       
税引前当期利益 1,00万円
法 人 税 等 0万円
法人税等調整額  400万円 △400万円
当期利益 600万円

 

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