目次 1-III-2


2.税効果会計と法人税の課税所得

 前述したように、税効果会計は企業会計上の経理方法のひとつであり、課税所得の金額に影響を与えるものではありません。しかしながら、税務申告上、課税所得の計算において損益計算書で計上される「法人税等調整額」をいかに取り扱うか、ということが問題となります。

 たとえば、先ほどのB社の場合、所得計算は次のようにします。

 [税効果会計を適用しない場合]
   当期利益 法人税等 所得金額
400万円 600万円 1,000万円
 
 [税効果会計を適用する場合]
   当期利益 法人税等 調整額 所得金額
600万円 600万円 200万円 1,000万円

   「法人税等」に含まれる事業税は損金算入されるので、実際の所得金額はこの計算と違います。ただし税効果会計に関する理解を容易にするため、以下、法人税等に事業税を含まないものとして説明します。

 上記の計算で、スタートの当期利益が200万円だけ食い違っていますが、申告調整の段階でこの誤差は解消され、結果的に所得金額は同額となります。

 また、翌期に貸倒損失の損金算入が認められたときは、次のように所得金額を計算します。

   当期利益 法人税等 調整額 所得金額
600万円 200万円 200万円 1,000万円

 要するに、税効果会計を適用して「法人税等調整額」を計上したときは、必ず所得計算でその金額を加減算します。それによって、所得金額は税効果会計を適用しない場合と一致します。

 

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