前述したように、税効果会計は企業会計上の経理方法のひとつであり、課税所得の金額に影響を与えるものではありません。しかしながら、税務申告上、課税所得の計算において損益計算書で計上される「法人税等調整額」をいかに取り扱うか、ということが問題となります。
たとえば、先ほどのB社の場合、所得計算は次のようにします。
[税効果会計を適用しない場合] |
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当期利益 |
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法人税等 |
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所得金額 |
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400万円 |
+ |
600万円 |
= |
1,000万円 |
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[税効果会計を適用する場合] |
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当期利益 |
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法人税等 |
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調整額 |
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所得金額 |
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600万円 |
+ |
600万円 |
− |
200万円 |
= |
1,000万円 |
注 |
「法人税等」に含まれる事業税は損金算入されるので、実際の所得金額はこの計算と違います。ただし税効果会計に関する理解を容易にするため、以下、法人税等に事業税を含まないものとして説明します。 |
上記の計算で、スタートの当期利益が200万円だけ食い違っていますが、申告調整の段階でこの誤差は解消され、結果的に所得金額は同額となります。
また、翌期に貸倒損失の損金算入が認められたときは、次のように所得金額を計算します。
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当期利益 |
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法人税等 |
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調整額 |
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所得金額 |
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600万円 |
+ |
200万円 |
+ |
200万円 |
= |
1,000万円 |
要するに、税効果会計を適用して「法人税等調整額」を計上したときは、必ず所得計算でその金額を加減算します。それによって、所得金額は税効果会計を適用しない場合と一致します。 |