目次 1-I-1


1 企業会計と税務申告


I.決算利益と申告所得


1.確定決算主義

 商法では、すべての会社に対して少なくとも年1回、決算を行って計算書類(貸借対照表、損益計算書など)を作成すべきことを要求しています(商法33(2)・281)。また、日常の取引記録と決算時の処理に関しては、財産評価を初めとする各種の計算規定が設けられ(商法34・285以下)、商法でとくに規定のない事項に関しては、「公正なる会計慣行」(具体的には「企業会計原則」)を斟酌すべきこととしています(商法32(2))。

 そこで制度会計として、会社では商法の計算規定と企業会計原則に基づいて期間損益計算を行い、その計算結果につき、定時株主総会で承認を受けなければなりません(商法283)。

 株主総会で計算書類が承認され会社の決算が確定すれば、次に税金の申告をします。原則として決算期末から2か月以内に、確定した決算に基づき(「確定決算主義」)法人税の申告書を提出しなければなりません(法74(1))。

   商法監査特例法に基づく会計監査人の監査を受けるため、あるいはその他の事情で決算が確定しないときは、税務署に申請して申告期限を1か月延長することができます(法75の2)。

 なお、法人税の確定申告書には、貸借対照表、損益計算書などの書類を添付しなければなりません(法74(2))。

 

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