目次 Q12


Q12 証拠調べ手続の概要について教えて下さい。

 証拠調べ手続は、(1)当事者による証拠の申出、(2)裁判所による採否の決定、(3)証拠調べの実施という経過をたどります。

 証拠調べ手続の流れ 口頭弁論手続や争点整理手続を経て、当事者の法律上の主張や事実上の主張が出揃い、争点が明確になると、その真偽を明らかにするために証拠調べ手続に入ります。
 証拠調べ手続においては、まず当事者が取調べを求める証拠を裁判所に申し出ます。
 それを受けて裁判所がその採否を決定し、採用決定がなされると証拠調べが実施されます。

 当事者による証拠の申出 証拠調べは、原則として当事者の申出があった証拠方法についてだけなされます(弁論主義の第3テーゼ)。
 証拠の申出は、裁判所に対して特定の証拠方法を取り調べるよう求める当事者の申立てです。証拠の申出は、証明すべき事実(民訴法第180条第1項)、証拠方法及び立証趣旨(民訴規則第99条)を具体的に明示してしなければなりません。
 また、証拠の申出は攻撃防御方法の一種ですので適時になされなければならず(民訴法第156条)、時機に後れたものについては却下されることがあります(民訴法第157条第1項)。

 証拠決定 当事者の証拠の申出に対し、裁判所は、証拠調べをするかどうかを裁量で決定します(民訴法第181条第1項)。
 証拠決定には、証拠調べの決定と却下決定とがあります。裁判所は、要証事実と証拠方法との関連性、当該証拠による要証事実の証明の必要性、証拠申出の適法性、唯一の証拠方法かどうかなどを考慮し、採否を決定していきます。

 証拠調べの実施 証拠調べの決定がなされると、証拠調べが実施されます。
 証人及び当事者本人の尋問は、できる限り、争点及び証拠の整理が終了した後に集中的に行わなければならないとされています(集中証拠調べ・民訴法第182条)。こうした集中証拠調べによって、裁判所の心証形成も容易になり、充実した審理と迅速な判決言渡しが可能となるからです。
 なお、書証の取調べについては、実務上、黙示の証拠決定が擬制されています。
 また、当事者には、当事者権保障の一環として、証拠調べに立ち会い、意見を述べる権利が保障されています。したがって裁判所は、証拠調べの期日を指定し、当事者を呼び出さなければなりません(民訴法第139条)。

 

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