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8 韓国法人に支払うゲームソフト開発制作の委託料

Question


 内国法人である当社は、ゲームソフトの開発・制作・販売業を営んでいますが、韓国法人P社に対して新しいゲームソフトの開発・制作を委託(外注)することとし、契約を締結しました。

 契約書では、成果物の納品にあたり、そのゲームソフトの著作権を含む全ての成果物をP社から当社に引渡す内容となっています。この場合の委託料(外注費)の支払対価については、源泉徴収が必要でしょうか。


Answer


 韓国法人に支払う著作権を含むすべての成果物の引渡し対価は、著作権の譲渡による対価に該当すると考えられますので、国内法及び日韓租税条約により、著作権の使用料として所得税の源泉徴収を要することとなります。


 ゲームソフトを含むソフトウェアそのものについては、我が国の税法において特に定義はされていませんが、各税法が借用概念として規定する著作権法に定める著作物には、同法で著作物と明文化されているプログラムを主たる構成部分としているソフトウェアが含まれるものと一般的には解されていて、著作権法においては、著作物を創作する者が著作者に当たり、その権利は保護されています。

 ご質問のゲームソフトについても創作した者である韓国法人P社が著作者となり、その著作物の引渡しに際しては、著作権を含むすべての成果物が創作した者から貴社に移転されることとなっていますので、著作権の譲渡に当たるものと考えられます。その支払対価は、P社から引渡しを受けたゲームソフトを貴社の国内業務に供するために支払うものと認められますので、国内法上、その支払う対価は非居住者等の国内源泉所得に該当します。

 日韓租税条約では、著作権そのものは国内法に定める定義によるものとされていて、その譲渡の対価は使用料条項に含まれていることから、ゲームソフトの引渡しによる対価は国内法及び同条約に規定する著作権の使用料に該当します。また、日韓租税条約では、内国法人が支払う使用料については債務者主義により我が国で課税されることとなっていますので、貴社がP社にその対価を支払う際、原則として20%(租税条約に関する届出書を提出すれば10%)の税率による所得税の源泉徴収が必要となります。

 なお、ゲームソフトの作成について、委託した者がプログラム仕様書などでソフトウェアの内容等をこと細かに指示し、外注先はもっぱらプログラムへの単なる変換作業等を行い、その成果物に創作性が認められないような場合には、著作権の譲渡には当てはまらないものと思われます。


参考 所法161七〈国内源泉所得〉、著作権法10九〈著作物の例示〉、日韓租税条約3〈定義〉、同12〈使用料〉

 

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