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6 外国銀行国内支店に支払う借入金利子

Question


 内国法人である当社は、中国法人のD銀行本店から受けた融資に対する利子について、その支払の際に、10%の軽減税率によって源泉徴収を行っています。

 先日、D銀行から「貴社に対する債権を東京支店に移管するので、その後発生する利子は同支店に支払ってほしい」旨の連絡がありました。当社が東京支店に支払う利子についても、今までどおりに源泉徴収が必要でしょうか。


Answer


 非居住者等に支払う利子であることに変りはありませんので、従来どおり、原則として所得税の源泉徴収が必要です。ただし、D銀行東京支店から源泉徴収の免除証明書の提示を受ければ、源泉徴収は要しません。


 ご質問の場合、利子の支払先が中国法人本店から同法人の国内支店に変更されても、中国法人に対する支払であることに変更はありませんから、国内法上、及び日中租税協定上も貴社が支払う利子は国内源泉所得に該当します。したがって、原則として20%の税率による所得税を源泉徴収しなければなりませんが、その場合は日中租税協定により所定の手続をとれば税率が10%に軽減されています。

 ただし、日本に支店などを有し法人税を納付する義務のある外国法人で、一定の要件を満たしているものについては、その外国法人が法人税の納税地を所轄する税務署長から「外国法人又は非居住者に対する源泉徴収の免除証明書」の交付を受けられることとされていますので、その外国法人がこの証明書を所得の支払者に提示した場合には、その証明書の有効期間内に支払われるものに対して源泉徴収が免除されることとなっています。

 ご質問の場合も、D銀行東京支店から貴社に源泉徴収の免除証明書の提示があれば、その証明書の有効期間内に支払う利子については、源泉徴収を要しないこととなります。

 注  近年において我が国が締結(改正)した租税条約の中には、銀行、保険会社、(登録)証券会社などを受取人とする利子については、免税としているもの(アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリア、オランダ、スイスなど)があります。


参考 所法161六〈国内源泉所得〉、同180丸数字1〈国内に恒久的施設を有する外国法人の受ける国内源泉所得に係る課税の特例〉、所令304〈外国法人が課税の特例の適用を受けるための要件〉、同305〈外国法人が課税の特例の適用を受けるための手続等〉

 

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