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5 非居住者から自己株式の取得を行った場合のみなし配当

Question


 上場会社である内国法人の当社では、公開買付けによる自己株式の取得を予定していますが、対象となる株主の中に非居住者が含まれています。

 上場会社が公開買付けにより自己株式を取得した場合の株主に生じるみなし配当については、何か非課税措置があるのでしょうか。


Answer


 上場会社等が公開買付けにより自己株式を取得した場合の株主に生じるみなし配当の非課税措置は、平成22年12月31日をもって終了しましたので、原則どおりに源泉徴収を要することとなります。


 非課税措置の終了に伴い、平成23年1月1日以降におけるその自己株式の取得については、みなし配当の規定が適用されることとなります。

 非居住者の国内源泉所得とされる配当等について、みなし配当に該当する金銭等の支払があった場合は、原則としてその支払のうち、資本金等の額のうち株式に対応する部分の金額を超える金額について20%の税率による源泉徴収が必要となります。

 注  平成22年12月31日以前においては、上場会社等が、旧証券取引法27条の22の2・1項に規定する公開買付けにより自己株式の取得をした場合に、その上場会社等の株主である非居住者が、その公開買付けに応じて株式の譲渡対価となる金銭等の交付を受け、かつ、その額がその上場会社等の資本等の金額又は連結個別資本等の金額のうち、その交付の基因となった株式に係る所得税法25条1項に規定する株式に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分の金額については、みなし配当課税を行わずに株式の譲渡による所得として課税されていました。

 また、貴社が外国法人の株主から自己株式を取得した場合にも特例措置はありませんので、非居住者の場合と同様に上記記載の株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額がある場合は、剰余金の配当等とみなされて、課税の対象とされますので、原則どおり20%の所得税の源泉徴収が必要となります。

 なお、自己株式の取得について、金融商品取引所の開設する市場における購入など一定の場合にはみなし配当に該当しないこととされています。

 注  租税条約における配当の定義は、一般的には締結国の定めるところによることとされていますので、みなし配当も国内法の規定に従うこととなります。


参考 所法25〈配当等とみなす金額〉、同161〈五国内源泉所得〉、同212〈源泉徴収義務〉、同213〈徴収税額〉、所令61〈所有株式に対応する資本金等の額又は連結個別資本金等の額の計算方法等〉、措法平22改正法附則51

 

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