目次 3-2


2 事務所併用住宅を購入した場合の譲渡対価の判定

Question


 個人でコンサルティング事務所を経営している者ですが、土地付の事務所併用住宅を非居住者から購入することになりました。この土地及び建物の対価は一括して1億2,000万円ですが、そのうち事務所部分は7,000万円、住宅部分は5,000万円と按分計算しています。

 この場合、居住用部分の5,000万円については、居住用不動産の取得のために個人が1億円以下で譲渡した場合の特例が適用されて源泉徴収を行わなくてもよいのでしょうか。


Answer


 非居住者等に対して支払う譲渡対価の額は、その土地等の居住用部分と居住用以外の部分との対価の額の合計額により判定することとなりますので、その総額が1億円を超える場合には、国内源泉所得に該当して源泉徴収が必要となります。


 非居住者等から国内にある土地等の譲渡を受けて、その対価を支払う者は、原則として源泉徴収義務が課されています。ただし、その譲渡対価の額が1億円以下で、かつ、その土地等を譲り受けた個人が自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けたものであるときには、非居住者等の国内源泉所得から除かれており、源泉徴収を行う必要はありません。

 ご質問のように、その土地等を居住用の部分と居住用以外の部分とに併用するために譲り受けた場合において、土地等の譲渡対価の額が1億円以下であるかどうかの判定に当たっては、居住用部分に係る対価の額だけで行うのではなく、あくまでも譲り受けた土地等の全体の金額、すなわち居住用部分に係る金額及び居住用以外の部分に係る対価の金額の合計額で判定することとされています。

 したがって、ご質問の場合、居住用部分が5,000万円であっても、譲渡対価の総額は1億2,000万円ですから、源泉徴収が不要となる国内源泉所得の特例は適用することができませんので、居住用部分を含めた譲渡対価の全額に対して10%の税率による所得税の源泉徴収が必要となります。

 注  事務所併用住宅をその譲渡対価の額が1億円以下で取得する場合において、その家屋の床面積の2分の1以上を居住用とすれば、主たる用途が居住用であると判定されて、上記の特例の適用ができます。


参考 所法161一の三〈国内源泉所得〉、所令281の3〈国内にある土地等の譲渡による対価〉、所基通161−7の3〈譲渡対価が1億円を超えるかどうかの判定〉

 

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