目次 Q5


Q5 事実上の貸倒れおよび形式上の貸倒れはどこが異なるでしょうか。

《ANSWER》

 法人の有する金銭債権が法律上は存在する場合であっても、債務者の資産状況、支払能力等から見て経済的に無価値化し、その金額が回収できないことが明らかとなった場合には、法人は貸倒れとして損金処理することができる。これを事実上の貸倒れという。金銭債権の全額が回収不能かどうかの判断は、債務者に資力があるかどうかがポイントである。

 事実上の貸倒れは、金銭債権の全額が回収不能である場合に限定され、金銭債権の一部が回収不能である場合に、その一部の額を貸倒処理することは認められていない。

 一方、形式上の貸倒れにおいては、債権そのものが経済的には無価値となっていない場合でも、売掛債権について一定の事実が発生した場合には、損金経理を条件に、備忘記録を残して貸倒れとすることができる。

 すなわち、債務者に対して有する売掛債権について、その債務者に対して有する売掛債権の額から備忘記録を控除した残額を貸倒れとして損金経理したときはその処理が認められる場合がある(法人税基本通達9−6−3)。

【事実上の貸倒処理と形式上の貸倒処理】
事実上の貸倒れ 債権が経済的に無価値となっているときに貸倒処理が認められる。金銭債権の全額が回収不能である場合に限定され、金銭債権の一部が回収不能である場合にその一部の額を貸倒処理することは認められていない。
形式上の貸倒れ 経済的には無価値となっていない場合でも、売掛債権について一定の事実が発生した場合に備忘記録を残して貸倒処理できる。

 

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