HOME コラム一覧 個人事業の廃業に伴って事業用建物を取り壊した際の未償却残高は、譲渡所得の費用にできるか?

個人事業の廃業に伴って事業用建物を取り壊した際の未償却残高は、譲渡所得の費用にできるか?

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リエ「黒田さん、こんにちは。先日、個人事業主の友人から譲渡所得の費用について相談を受けたのですが上手く答えられなかったんです。黒田さんにお聞きしてもよろしいでしょうか?」

黒田「えぇ。もちろんですよ。どのような相談だったのでしょうか?」

リエ「はい。友人は個人事業主として飲食店を経営しています。ただここ数年は赤字を続いているためお店を畳んで個人事業を廃業したいとのことです。飲食店の店舗は、その友人が個人で所有していた土地と建物です。廃業に伴って建物を取り壊してから土地を売却したいという意向なのです。土地の売却が譲渡所得になるのは分かるのですが、建物を取り壊した際の未償却残高についてどのような扱いをしてよいかが分からなくて。」

黒田「なるほど。その建物の取り壊しに伴う未償却残高が、事業所得の必要経費になるのか、それとも譲渡所得の譲渡費用になるのかということですね。」

リエ「はい。事業所得はそもそも赤字のため、事業所得の必要経費ではなく譲渡所得を計算するうえでの費用にならないかというのが相談になります。」

黒田「結論から申し上げますと、そのような場合、建物の取壊しを行う直前の未償却残高は、譲渡所得の費用ではなく、事業所得の必要経費に算入されることとなります。ただし、発生資材の価額がある場合はこれを控除した後の残高が事業所得の必要経費となる点に注意して下さい。」

リエ「そうなのですね。」

黒田「はい。事業所得獲得のために利用していた固定資産を取り壊した際などに生じる損失は、保険等で補填される金額を除いてその損失が生じた年の事業所得の必要経費に算入することが所得税法51条で定められています。ちなみに譲渡所得の費用となる場合は、非業務用建物の取り壊しなどであってその取り壊しなどが当該譲渡のために行われたことが明らかである場合です。」

リエ「黒田さん、ありがとうございました。さっそく友人に伝えてあげたいと思います。」

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、こんにちは。先日、個人事業主の友人から譲渡所得の費用について相談を受けたのですが上手く答えられなかったんです。黒田さんにお聞きしてもよろしいでしょうか?」黒田「えぇ。もちろんですよ。どのような相談だったのでしょうか?」リエ「はい。友人は個人事業主として飲食店を経営しています。ただここ数年は赤字を続いているためお店を畳んで個人事業を廃業したいとのことです。飲食店の店舗は、その友人が個人で所有していた土地と建物です。廃業に伴って建物を取り壊してから土地を売却したいという意向なのです。土地の売却が譲渡所得になるのは分かるのですが、建物を取り壊した際の未償却残高についてどのような扱いをしてよいかが分からなくて。」黒田「なるほど。その建物の取り壊しに伴う未償却残高が、事業所得の必要経費になるのか、それとも譲渡所得の譲渡費用になるのかということですね。」リエ「はい。事業所得はそもそも赤字のため、事業所得の必要経費ではなく譲渡所得を計算するうえでの費用にならないかというのが相談になります。」黒田「結論から申し上げますと、そのような場合、建物の取壊しを行う直前の未償却残高は、譲渡所得の費用ではなく、事業所得の必要経費に算入されることとなります。ただし、発生資材の価額がある場合はこれを控除した後の残高が事業所得の必要経費となる点に注意して下さい。」リエ「そうなのですね。」黒田「はい。事業所得獲得のために利用していた固定資産を取り壊した際などに生じる損失は、保険等で補填される金額を除いてその損失が生じた年の事業所得の必要経費に算入することが所得税法51条で定められています。ちなみに譲渡所得の費用となる場合は、非業務用建物の取り壊しなどであってその取り壊しなどが当該譲渡のために行われたことが明らかである場合です。」リエ「黒田さん、ありがとうございました。さっそく友人に伝えてあげたいと思います。」
2024.11.25 19:10:08