相続税の延納
リエ「黒田さん。ちょっといいですか?」
黒田「はい。なんでしょう。」
リエ「私の知り合いの方のお父様が亡くなり相続が発生したのです。相続税の計算をしてもらったら相続税の納税額が思いの外高くて、納税資金が足りないと困っているみたいなのです。」
黒田「国税は期限までに金銭での一括納付が原則ですからね。しかし場合によっては延納の申請を行い、分割での納付が可能になるかもしれませんよ。」
リエ「えっ!どういうことですか?」
黒田「以下の要件をすべて満たす場合に延納の申請をすることができます。」
① 相続税額が10万円を超えること。
② 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
③ 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。
*ただし、延納税額が100万円以下で、かつ、延納機関が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
④ 延納申請に係る相続税の納期限または納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供関係書類を添付して税務署長に提出すること。
リエ「担保を提供しなければいけないのですね。担保とはどういう財産でもいいのですか?」
黒田「担保として提供できる財産は以下の財産に限られます。
① 国債および地方債
② 社債その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの
③ 土地
④ 建物、立木、登記される船舶などで、保険に附したもの
⑤ 鉄道財団、工場財団など
⑥ 税務署長が確実と認める保証人の保証
これらは相続した財産に限らず、相続人固有の財産や共同相続人または第三者が所有している財産であっても担保物所有者の承諾書等があれば担保として提供できます。」
リエ「どのくらいの期間で分割納付が可能なのでしょうか?」
黒田「相続財産に占める不動産の割合に応じて延納できる期間が決められています。不動産の占める割合が高いほど期間も長く、最長で20年です。不動産の占める割合が50%未満の場合は最長で5年です。利子税の割合も不動産の割合に応じて決められています。」
リエ「そうですよね。当然、利子も払うことになりますよね。延納のメリット・デメリットを教えておきます。ありがとうございました。」