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修繕費か資本的支出か明らかでない場合の取扱い

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リエ「黒田さん、こんにちは。修繕費と資本的支出について教えて頂きたいのですが?」

黒田「はい。もちろんです。どのようなことでしょう?」

リエ「修繕費などのうち、その固定資産について通常の管理や修繕をした場合に予測される使用可能期間や価値を延長、増大させる支出が資本的支出であるという理屈は分かるんです。ただ実務の現場で困るのは、修繕費なのか資本的支出なのか本当に判断がつかないようなケースなんです。そのたびにいちいち頭を悩ませるのが大変で。」

黒田「そうですよね。法人での処理を前提にしますが、リエちゃんが仰るような資本的支出についての理論的な考え方は法人税法施行令132条に規定されています。一方で、修繕費と一口にいっても実務においては様々なケースが想定されますから、資本的支出か否か必ずしも当該法令のみで判断しきれるわけではありません。修繕費と資本的支出については、法令をもとに判断できることが理想ではあるものの、一応期間損益の帰属の問題でもあることから、ある程度形式的な判断基準が法人税法基本通達に示されています。今回は、修繕費、資本的支出いずれか明らかでない場合の支出について法人税法基本通達の取扱いをお話したいと思います。」

リエ「ありがとうございます。」

黒田「まず、修繕費なのか資本的支出なのかいずれか明らかでない支出額が60万円未満であれば、修繕費として処理できます。60万円未満でなくとも、修繕の対象となった固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下の額であれば、この場合も資本的支出とする必要はなく修繕費として損金経理して良いことになっています。いわゆる形式基準といわれる取扱いです。」

リエ「支出額から形式的に判断して良いということですね。」

黒田「次にこの形式基準に該当せずとも、法人が継続してその修繕費の30%相当額と修理の対象となった固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これが認められる特例があります。」

リエ「この特例は継続適用が必要なのですね。」

黒田「はい。法人の都合のよいときだけ適用してはならないということですね。いずれにせよ修繕費、資本的支出いずれか明らかでない場合についての判断基準であることに注意して下さい。最後に、その修繕がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが過去の実績等からみて明らかである場合にも資本的支出としてないで修繕費として処理できます。この場合に支出の金額や継続処理は関係ありません。」

リエ「黒田さん、ありがとうございました。」

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、こんにちは。修繕費と資本的支出について教えて頂きたいのですが?」黒田「はい。もちろんです。どのようなことでしょう?」リエ「修繕費などのうち、その固定資産について通常の管理や修繕をした場合に予測される使用可能期間や価値を延長、増大させる支出が資本的支出であるという理屈は分かるんです。ただ実務の現場で困るのは、修繕費なのか資本的支出なのか本当に判断がつかないようなケースなんです。そのたびにいちいち頭を悩ませるのが大変で。」黒田「そうですよね。法人での処理を前提にしますが、リエちゃんが仰るような資本的支出についての理論的な考え方は法人税法施行令132条に規定されています。一方で、修繕費と一口にいっても実務においては様々なケースが想定されますから、資本的支出か否か必ずしも当該法令のみで判断しきれるわけではありません。修繕費と資本的支出については、法令をもとに判断できることが理想ではあるものの、一応期間損益の帰属の問題でもあることから、ある程度形式的な判断基準が法人税法基本通達に示されています。今回は、修繕費、資本的支出いずれか明らかでない場合の支出について法人税法基本通達の取扱いをお話したいと思います。」リエ「ありがとうございます。」黒田「まず、修繕費なのか資本的支出なのかいずれか明らかでない支出額が60万円未満であれば、修繕費として処理できます。60万円未満でなくとも、修繕の対象となった固定資産の前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下の額であれば、この場合も資本的支出とする必要はなく修繕費として損金経理して良いことになっています。いわゆる形式基準といわれる取扱いです。」リエ「支出額から形式的に判断して良いということですね。」黒田「次にこの形式基準に該当せずとも、法人が継続してその修繕費の30%相当額と修理の対象となった固定資産の前期末における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、これが認められる特例があります。」リエ「この特例は継続適用が必要なのですね。」黒田「はい。法人の都合のよいときだけ適用してはならないということですね。いずれにせよ修繕費、資本的支出いずれか明らかでない場合についての判断基準であることに注意して下さい。最後に、その修繕がおおむね3年以内の期間を周期として行われることが過去の実績等からみて明らかである場合にも資本的支出としてないで修繕費として処理できます。この場合に支出の金額や継続処理は関係ありません。」リエ「黒田さん、ありがとうございました。」
2024.08.26 15:20:35