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産前産後休業中の手続き(1)社会保険料免除

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今日は守田社労士の訪問日です。

リエ「守田先生、こんにちは。早速ですが、私の友人が妊娠したんです。いずれ産休に入ることになるので、産休中の手続きについて教えてもらえますか。」

守田「もちろんです。産休中、正しく言うと産前産後休業中ですが、この期間の手続きは、①健康保険・厚生年金保険の保険料免除、②健康保険出産手当金、③健康保険出産育児一時金の3つです。」

リエ「もちろん情報として聞いたことはあるのですが、私が担当になってから対象者がいなかったので詳しくはわからなくて……。」

守田「はい、皆さんなんとなくはご存知のようですが、②と③は区別がつかないという方も多いですね。今日は①について説明しますね。ご承知の通り、産休中は社会保険料、つまり健康保険も厚生年金保険もどちらも保険料が免除になるので、傷病休職中とは異なり、本人から保険料を徴収する必要がありません。ただ注意が必要なのは産休期間の判断です。」

リエ「産休は産前42日、産後56日ですよね。そこは確認しました。」

守田「多胎児でない場合はそうですね。労働基準法では、『6週間以内に出産予定がある女性が請求した場合には就業させてはならない』とありますので、実は本人が請求つまり希望しなければ、出産前はギリギリまで仕事をしていても問題はないのです。一方で、男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置では、『医師等からの指導を受けた場合は、その女性労働者が受けた指導を守ることができるようにするために、事業主は勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない』となっています。簡単に言うと、産休開始日や産休前の休業に関しては、個々の状況に応じて決められることになります。」

リエ「そうなんですね、全員同じタイミングで休みに入ると思ってました。」

守田「もちろん、原則通り、出産予定日の42日前から産休に入る人が多いのですが、そうでない方もたくさんいらっしゃいます。そして、出産日も早まったり遅くなったりと人によって異なります。」

リエ「確かにそうですね。」

守田「労働基準法で産後休業は、『産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない』されています。つまり、産前と違って産後休業については、原則8週間(56日)は休ませなければならないのです。ちなみに出産日は産前休業の最終日という考え方になります。」

リエ「出産後しっかり休ませるのは納得です。」

守田「出産後、注意するのは実は産前休暇のほうなんです。」

リエ「どういうことですか。」

守田「予定日より遅い出産であれば、産前期間が延びて全体の産休期間が長くなるだけなので特に問題はないのですが、予定日より早めに出産した場合、保険料免除の処理においては、実際の出産日の42日前から産前休暇とすることが可能となります。つまり、医師の指導等があり、通常の産休開始日の前から私傷病扱いで休業に入っていた場合に、出産が早まったことで産前期間が前倒しになり、保険料免除開始の月が変更になる可能性があるのです。その場合は徴収した保険料の返金処理も発生することになります。」

リエ「なるほど、そういうことですね。」

守田「産休中の保険料免除の手続きは、原則として産休開始後に『産前産後休業取得者申出書』を提出し、出産後に『変更届』(用紙は同じ)を提出する(※1)ことで、正しい産休期間を届け出る必要がありますが、出産後の1回だけで正しい期間を提出することも可能です。保険料の請求額にズレが生じますが、後日調整されることになります。」

リエ「数か月の間、保険料の徴収額と納付額に誤差は生じてしまいますが、書類の提出が1回で済ませられるなら、私はそちらのほうがいいような気がします。」

守田「私もそれをおすすめしています。②と③の給付金については、次の機会にお話しますね。」

リエ「よろしくお願いします。」


(※1)予定日と出産日が同じ日の場合は『変更届』の提出は不要です。

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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今日は守田社労士の訪問日です。リエ「守田先生、こんにちは。早速ですが、私の友人が妊娠したんです。いずれ産休に入ることになるので、産休中の手続きについて教えてもらえますか。」守田「もちろんです。産休中、正しく言うと産前産後休業中ですが、この期間の手続きは、①健康保険・厚生年金保険の保険料免除、②健康保険出産手当金、③健康保険出産育児一時金の3つです。」リエ「もちろん情報として聞いたことはあるのですが、私が担当になってから対象者がいなかったので詳しくはわからなくて……。」守田「はい、皆さんなんとなくはご存知のようですが、②と③は区別がつかないという方も多いですね。今日は①について説明しますね。ご承知の通り、産休中は社会保険料、つまり健康保険も厚生年金保険もどちらも保険料が免除になるので、傷病休職中とは異なり、本人から保険料を徴収する必要がありません。ただ注意が必要なのは産休期間の判断です。」リエ「産休は産前42日、産後56日ですよね。そこは確認しました。」守田「多胎児でない場合はそうですね。労働基準法では、『6週間以内に出産予定がある女性が請求した場合には就業させてはならない』とありますので、実は本人が請求つまり希望しなければ、出産前はギリギリまで仕事をしていても問題はないのです。一方で、男女雇用機会均等法における母性健康管理の措置では、『医師等からの指導を受けた場合は、その女性労働者が受けた指導を守ることができるようにするために、事業主は勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない』となっています。簡単に言うと、産休開始日や産休前の休業に関しては、個々の状況に応じて決められることになります。」リエ「そうなんですね、全員同じタイミングで休みに入ると思ってました。」守田「もちろん、原則通り、出産予定日の42日前から産休に入る人が多いのですが、そうでない方もたくさんいらっしゃいます。そして、出産日も早まったり遅くなったりと人によって異なります。」リエ「確かにそうですね。」守田「労働基準法で産後休業は、『産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない』されています。つまり、産前と違って産後休業については、原則8週間(56日)は休ませなければならないのです。ちなみに出産日は産前休業の最終日という考え方になります。」リエ「出産後しっかり休ませるのは納得です。」守田「出産後、注意するのは実は産前休暇のほうなんです。」リエ「どういうことですか。」守田「予定日より遅い出産であれば、産前期間が延びて全体の産休期間が長くなるだけなので特に問題はないのですが、予定日より早めに出産した場合、保険料免除の処理においては、実際の出産日の42日前から産前休暇とすることが可能となります。つまり、医師の指導等があり、通常の産休開始日の前から私傷病扱いで休業に入っていた場合に、出産が早まったことで産前期間が前倒しになり、保険料免除開始の月が変更になる可能性があるのです。その場合は徴収した保険料の返金処理も発生することになります。」リエ「なるほど、そういうことですね。」守田「産休中の保険料免除の手続きは、原則として産休開始後に『産前産後休業取得者申出書』を提出し、出産後に『変更届』(用紙は同じ)を提出する(※1)ことで、正しい産休期間を届け出る必要がありますが、出産後の1回だけで正しい期間を提出することも可能です。保険料の請求額にズレが生じますが、後日調整されることになります。」リエ「数か月の間、保険料の徴収額と納付額に誤差は生じてしまいますが、書類の提出が1回で済ませられるなら、私はそちらのほうがいいような気がします。」守田「私もそれをおすすめしています。②と③の給付金については、次の機会にお話しますね。」リエ「よろしくお願いします。」(※1)予定日と出産日が同じ日の場合は『変更届』の提出は不要です。
2023.11.13 16:09:39