税関の事後調査で消費税を修正申告した場合の処理
リエ「黒田さん。ちょっといいですか?」
黒田「はい。何でしょう?」
リエ「当社が一部の商品を輸入しているのはご存じだと思いますが、先日、税関による事後調査が入りまして誤りの指摘を受けました。」
黒田「輸入された貨物に係る納税申告が適正に行われているかを税関が行う調査ですよね。一般的に申告漏れの多い事例とされているのは低価インボイスによる輸入申告や輸入者が提供した部材の金型費用の申告漏れ等ですよね。」
リエ「今回は無償提供した原材料費の評価漏れを指摘されました。」
黒田「そうでしたか。税理士は税関に関する問題は職務権限外となっていますので調査の立会や交渉等でお力になれず申し訳ありませんでした。」
リエ「いえいえ。それはいつも輸入業務を依頼している通関業者にお願いし税関に対する修正申告を行って追徴課税を納付したのですが、これは会計上どのように処理すればよろしいでしょうか?」
黒田「指摘を受けたのはいつの輸入に対してですか?」
リエ「対象となったのは前期と前々期分の輸入に対してです。」
黒田「納付した税目は何ですか?」
リエ「関税・消費税そして加算税です。」
黒田「関税は損金算入となりますが、加算税は損金不算入となります。消費税に関しては税務署に対して更正の請求を行い、還付を受けますのでとりあえず仮払金で処理しておいてください。」
リエ「えっ! 消費税は還付されるのですか?」
黒田「はい。過年度分の輸入仮払消費税が過少となっていたわけですので更正の請求を行い、還付してもらいます。」
リエ「今回納付したほとんどが消費税ですので、そのほとんどが戻ってくるのですか?」
黒田「そういうことになりますね。」
リエ「それって何か意味あるのですかね。税関と税務署でやりとりしてくれれば済む話じゃないですか。もしくは更正の請求なんてしないで今の進行期で輸入仮払消費税として処理すれば良くないですか?」
黒田「それができれば楽なのですが、あくまでも指摘を受けた事業年度分として処理しなければなりませんので更正の請求を行う必要があります。税務署による税務調査もそうですが不適切な税額を是正するという目的以外にも、適切な申告指導を行うことにより適正な課税を将来にわたって確保することも目的としていますので。」
リエ「そうですよね。適正に納税している納税者との間で不公平があってはいけませんものね。今後は適正な申告納税に努めていきます。ありがとうございました。」