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第19回 「建設業経営について<ChatGPT>に聞いてみました」

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 今話題の<ChatGPT>に建設業の経営について聞いてみました。正確には「チャット」機能ではなく「作成」機能を使用しましたので、“聞いてみた”というよりもテーマを与えて“書いてもらった”事例紹介です。

 まず、Q1.「建設業の経営で重要なこと」に対しての回答(答案)です。

 A1-1.
 『建設業の経営で重要なことの一つは、安全管理である。建設現場では、労働者や周囲の人々の安全を確保するために、法律や規則に従って作業を行う必要がある。安全管理が不十分だと、事故や違反が発生し、損害賠償や罰金などの負担が増えるだけでなく、信用や評判も失う恐れがある。そのため、建設業の経営者は、安全管理体制を整備し、教育や監督を徹底することが求められる。』

 おっしゃる通りです・・・

 ここで興味深いのは、まったく同じテーマでも再回答を求めた場合に、また別の視点からの回答が返されるところです。前述と同じテーマで、次に返された回答は以下の通りです。

 A1-2.
 『建設業の経営で重要なことの一つは、自社の強みや特徴を明確にすることです。建設業界は競争が激しく、顧客のニーズも多様化しています。そのため、他社との差別化を図り、自社のブランドイメージを高める必要があります。例えば、環境に配慮した工法や技術を開発し、それをアピールすることで、顧客からの信頼や評価を得ることができます。また、自社の強みや特徴を活かして、新しいビジネスモデルやサービスを提供することで、市場における存在感を高めることができます。このように、自社の強みや特徴を明確にすることは、建設業の経営戦略において重要なポイントです。』

 <ChatGPT>の回答には、“確率的に確か”と表現される指向性が認められますが、それに基づくいくつもの提案パターンが生成されるようです。

 次にQ2.「建設業の原価管理で重要なこと」に対しては、

 A2-1.
 『建設業における原価管理とは、工事案件ごとに発生する原価を把握し、予算や収益との対比を行うことです。原価管理を正しく行うことで、工事の収益性や経営状況を把握し、改善策を立てることができます。また、原価管理は顧客や取引先への信頼性や競争力の向上にもつながります。
 建設業の原価管理では、工事ごとに「材料費」「労務費」「経費」「外注費」という4つの要素で分類される原価費目を計算する必要があります 。これらの原価費目は工期や資材価格などの変動要因によって変化するため、常に最新の情報を入力し、精度の高い計算を行うことが重要です 。
 また、建設業では全社年間利益計画や完成済み工事利益、期中予想利益などの数字も原価管理において重要です。これらの数字は工事ごとの収支だけでなく、会社全体の経営状況や将来見通しを示す指標でもあります。したがって、これらの数字を正確に把握し、適切な判断や対策を行うことが求められます。』

 A2-2.
 『建設業の原価管理で重要なことは、計画と実績の比較です。計画と実績の比較を行うことで、原価の進捗や偏差を把握し、問題点や改善点を見つけることができます。また、計画と実績の比較をもとに、予算や工程の修正や調整を行うことができます。計画と実績の比較は、建設プロジェクトの品質や利益に直結するため、定期的に行う必要があります。』

 模範解答です・・・

 人間の思考には、これまでの経験などを通してどうしても偏りが生じてしまう傾向があるのに対し、あくまでも汎用を目指したアウトプットには、忘れていた視点、軽視してきた視点に気付かされる可能性もあるのではないかと感じます。

 最後に、これは無理だろう・・・と思われたテーマ、Q3.「建設業の経営事項審査で評点を上げる」に対して、一つだけ回答を求めた結果が以下の通りです。

 A3-1.
 『建設業の経営事項審査は、公共工事の入札に参加するために必要な審査です。この審査では、建設業者の経営状況や施工能力などを数値化して評価します。評点が高いほど、入札参加資格や施工可能金額が広がります。では、どうすれば評点を上げることができるでしょうか。
 まず、経営事項審査は2段階に分かれています。第1段階は経営状況分析といって、決算書に基づいて財務指標や受注実績などを算出します。第2段階は経営規模等評価といって、経営規模や技術力、社会性などを判断します。この2段階の合計点が最終的な評点となります。
 評点を上げるためには、第1段階と第2段階の両方で改善策を考える必要があります。第1段階では、決算書の内容を正確に記載し、財務状況や受注実績を向上させることが重要です。また、登録経営状況分析機関に依頼することで、専門的なアドバイスを受けることもできます。
 第2段階では、経営規模や技術力に関する書類を添付することが必要です。例えば、社員数や資本金などの情報を証明する書類や、施工実績や技術資格などの情報を示す書類です。これらの書類は詳細かつ具体的に作成し、自社の強みや特徴をアピールすることが大切です。
 以上のように、建設業の経営事項審査で評点を上げるためには、決算書や添付書類の作成に注意し、自社の経営状況や施工能力を高める努力をすることが求められます 。』

 <ChatGPT>は、まだバージョン4.0です。業種的、職業的に危機感を覚えながらも、有効利用の可能性を探りたいと思います。

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執筆者情報

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吉永 茂

一般社団法人コンサル技連

一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授
一般社団法人原価管理研究会(SCC)
講師

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 今話題の<ChatGPT>に建設業の経営について聞いてみました。正確には「チャット」機能ではなく「作成」機能を使用しましたので、“聞いてみた”というよりもテーマを与えて“書いてもらった”事例紹介です。 まず、Q1.「建設業の経営で重要なこと」に対しての回答(答案)です。 A1-1. 『建設業の経営で重要なことの一つは、安全管理である。建設現場では、労働者や周囲の人々の安全を確保するために、法律や規則に従って作業を行う必要がある。安全管理が不十分だと、事故や違反が発生し、損害賠償や罰金などの負担が増えるだけでなく、信用や評判も失う恐れがある。そのため、建設業の経営者は、安全管理体制を整備し、教育や監督を徹底することが求められる。』 おっしゃる通りです・・・ ここで興味深いのは、まったく同じテーマでも再回答を求めた場合に、また別の視点からの回答が返されるところです。前述と同じテーマで、次に返された回答は以下の通りです。 A1-2. 『建設業の経営で重要なことの一つは、自社の強みや特徴を明確にすることです。建設業界は競争が激しく、顧客のニーズも多様化しています。そのため、他社との差別化を図り、自社のブランドイメージを高める必要があります。例えば、環境に配慮した工法や技術を開発し、それをアピールすることで、顧客からの信頼や評価を得ることができます。また、自社の強みや特徴を活かして、新しいビジネスモデルやサービスを提供することで、市場における存在感を高めることができます。このように、自社の強みや特徴を明確にすることは、建設業の経営戦略において重要なポイントです。』 <ChatGPT>の回答には、“確率的に確か”と表現される指向性が認められますが、それに基づくいくつもの提案パターンが生成されるようです。 次にQ2.「建設業の原価管理で重要なこと」に対しては、 A2-1. 『建設業における原価管理とは、工事案件ごとに発生する原価を把握し、予算や収益との対比を行うことです。原価管理を正しく行うことで、工事の収益性や経営状況を把握し、改善策を立てることができます。また、原価管理は顧客や取引先への信頼性や競争力の向上にもつながります。 建設業の原価管理では、工事ごとに「材料費」「労務費」「経費」「外注費」という4つの要素で分類される原価費目を計算する必要があります 。これらの原価費目は工期や資材価格などの変動要因によって変化するため、常に最新の情報を入力し、精度の高い計算を行うことが重要です 。 また、建設業では全社年間利益計画や完成済み工事利益、期中予想利益などの数字も原価管理において重要です。これらの数字は工事ごとの収支だけでなく、会社全体の経営状況や将来見通しを示す指標でもあります。したがって、これらの数字を正確に把握し、適切な判断や対策を行うことが求められます。』 A2-2. 『建設業の原価管理で重要なことは、計画と実績の比較です。計画と実績の比較を行うことで、原価の進捗や偏差を把握し、問題点や改善点を見つけることができます。また、計画と実績の比較をもとに、予算や工程の修正や調整を行うことができます。計画と実績の比較は、建設プロジェクトの品質や利益に直結するため、定期的に行う必要があります。』 模範解答です・・・ 人間の思考には、これまでの経験などを通してどうしても偏りが生じてしまう傾向があるのに対し、あくまでも汎用を目指したアウトプットには、忘れていた視点、軽視してきた視点に気付かされる可能性もあるのではないかと感じます。 最後に、これは無理だろう・・・と思われたテーマ、Q3.「建設業の経営事項審査で評点を上げる」に対して、一つだけ回答を求めた結果が以下の通りです。 A3-1. 『建設業の経営事項審査は、公共工事の入札に参加するために必要な審査です。この審査では、建設業者の経営状況や施工能力などを数値化して評価します。評点が高いほど、入札参加資格や施工可能金額が広がります。では、どうすれば評点を上げることができるでしょうか。 まず、経営事項審査は2段階に分かれています。第1段階は経営状況分析といって、決算書に基づいて財務指標や受注実績などを算出します。第2段階は経営規模等評価といって、経営規模や技術力、社会性などを判断します。この2段階の合計点が最終的な評点となります。 評点を上げるためには、第1段階と第2段階の両方で改善策を考える必要があります。第1段階では、決算書の内容を正確に記載し、財務状況や受注実績を向上させることが重要です。また、登録経営状況分析機関に依頼することで、専門的なアドバイスを受けることもできます。 第2段階では、経営規模や技術力に関する書類を添付することが必要です。例えば、社員数や資本金などの情報を証明する書類や、施工実績や技術資格などの情報を示す書類です。これらの書類は詳細かつ具体的に作成し、自社の強みや特徴をアピールすることが大切です。 以上のように、建設業の経営事項審査で評点を上げるためには、決算書や添付書類の作成に注意し、自社の経営状況や施工能力を高める努力をすることが求められます 。』 <ChatGPT>は、まだバージョン4.0です。業種的、職業的に危機感を覚えながらも、有効利用の可能性を探りたいと思います。
2023.03.30 09:03:56