HOME コラム一覧 [パターン別]確定申告書の提出先・提出期限

[パターン別]確定申告書の提出先・提出期限

post_visual

1 確定申告書の提出先

確定申告書の提出先は、次のように定められています。

区  分 提 出 先
①原則 原則として、住所地を管轄する税務署へ提出することになっています(所法15)。
○事業所を管轄する税務署へ提出してもよい(所法16②)こととされていますが、給与所得者がその勤務先を管轄する税務署へ提出することは正しくありません。
○事業所等の所在地を納税地とする場合には「所得税の納税地の変更に関する届出書」を住所地を管轄する税務署と事業所を管轄する税務署の双方に提出しなければなりません(所法16④)。
②納税地が不適当な場合 納税義務者が選択した納税地が不適当であると認められる場合は、所轄国税局長(又は国税庁長官)が納税地を指定することがあります(所法18)。
○納税地が指定された場合は、国税局長(又は国税庁長官)から書面により通知されます。
③住所を変更した場合 住所を変更した場合は、確定申告書を提出する時の住所地を管轄する税務署へ提出します(通則法21①)。
○間違って異動前の住所地を管轄する税務署へ提出された申告書は、現在の納税地を管轄する税務署に提出されたものとみなされます(通則法21②)。
④死亡した人の確定申告書  死亡した人の確定申告書は、相続人の住所地ではなく、死亡した人の死亡当時の納税地を管轄する税務署へ提出しなければなりません(所法16⑥)。
⑤日本に住所又は居所のある外国人 日本に住所又は居所のある外国人の確定申告書は、住所地又は居所地を管轄する税務署へ提出することになります(所法15①一、二)。
⑥外国に住所のある外国人 外国に住所のある外国人は、居所又は事務所の所在地を管轄する税務署、その他の場合は麴町税務署が管轄税務署になります(所令54)。
⑦出国者の確定申告 出国の時までに、住所地を管轄する税務署へ提出しなければなりません(所法126①、127①)。

2 確定申告書の提出期限

 確定申告書の提出期限は、それぞれの区分に応じて次のように定められています。

区  分 提 出 先
①原則
(申告期前に提出された申告書)
確定申告書は、その年の翌年2月16日から3月15日までの間に提出することとされています(所法120①)。
○2月15日以前に提出された確定申告書についても、期限内申告書として受理されます(所基通120-2)。
②災害等により期限内に申告書の提出が困難な場合 確定申告書等の提出期限前に災害等により申告書の提出が困難となった場合には、税務署長の承認を受けて災害のやんだ後2か月以内に限って提出期限の延長が受けられます(通則法11、通則令3)。
イ 地域指定による期限延長
国税庁長官が災害のあった地域及び期日を指定して、その申告、納付等の期限を延長するもので、指定された地域内に納税地のある納税者については期限延長の申請手続を特別にすることなく、申告、納付等の期限が延長されます。
ロ 個別指定による期限延長
地域指定が行われた地域内に納税地を有しない納税者について、災害その他やむを得ない理由によって、期限までに申告や納税などができないときは、納税地の所轄税務署長に申請することにより、災害のやんだ日から2か月以内に限り、申告、納付等の期限が延長されます。
③還付等を受けるための申告書(更正の請求) 還付等を受けるための申告書については、その年の翌年1月1日から提出できます(通則法15②一)。
○還付申告についての時効は5年間です(通則法74)。
○既に還付申告をした人がその是正を求めようとする場合は、更正の請求によることになりますが、この場合の更正の請求は、「その申告書を提出した日(注)」から5年以内にしなければなりません(通則法23、所基通122-1)。
(注)確定申告をしなくてよい人が還付を受けるため確定申告書を提出した場合の更正の請求は、「税額があるとした場合における法定申告期限と申告書を提出した日とのいずれか遅い日」とすることができます。
④郵送等した申告書の提出時期 郵送等した申告書の提出時期は、その郵便物又は信書便物の通信日付印によって表示された日が提出日になります(通則法22)。
○郵送による場合は、発信日付等が明確に刻印されますので書留を利用されるとよいでしょう。
 そのために、時刻が切迫しているときなどに備えて、あらかじめ、近くの郵便局の書留郵便等の締切時刻等を調べておきましょう。
【一口メモ】税務上の申告書や申請書・届出書は原則「信書」にあたり、税務署に送付する場合は、「郵便物」「信書便物」での送付が必要です。小包郵便物(ゆうパック等)で申告書等を送付した場合には、「到達主義」により税務署に到達した日が提出日となりますので注意が必要です。なお、申請書等が「信書」に該当するかどうかは国税庁のホームページで確認できます。
⑤訂正申告 訂正申告は、特段の申出のない限り、法定申告期限内の最後の申告書が有効となりますので、「訂正申告」と朱書で表示して、再提出すればよいでしょう(所基通120-4)。
⑥死亡した人の確定申告書 イ 1月1日から3月15日までの間に死亡した人については、その相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月目が申告期限になります(所法124①)。
 (例) 3月10日に死亡した場合→7月10日が提出期限
ロ 確定申告書を提出しないまま3月15日以降(申告書提出期限後)に死亡した場合は、その後、相続人が申告書を提出しても期限後申告になります(所基通124・125-2)。
ハ 年の中途で死亡した年分については、その相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月目が申告期限になります(所法125①)。
ニ 死亡した人の確定申告で相続人が二人以上あるときは、各相続人の連署が原則とされます(所令263②)ので、確定申告書付表を添付することになります(所規49)。
 各相続人は、相続分に応じた税額を按分して負担・納付することになります(通則法5②③)。
⑦出国する人の確定申告書 イ その年の翌年1月1日から3月15日までの間に出国する人の確定申告書は、出国の時までに提出しなければなりません(所法126①)。
ロ 年の中途に出国する場合で、その年の1月1日から出国の時までの間の所得について確定申告をする必要がある場合は、その出国の時が申告期限になります(所法127)。ただし、国内に納税管理人を置き、所轄税務署にその旨の届出をしている場合は出国扱いにはなりません(所法2①四十二)。

このコンテンツの内容は、令和4年11月25日現在の法令等によっています。

資料提供(書誌出典)

profile_photo

書名:令和5年3月申告用 税理士のための確定申告事務必携

発行日:2022年12月22日
発行元:株式会社 清文社
規格:B5判 518頁
著者:堀 三芳 著
   勝山武彦 著

この記事のカテゴリ

この記事のシリーズ

税務解説集

記事の一覧を見る

関連リンク

消費税等に係る経理処理はどうする

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


コラム
/column/2023/img/thumbnail/img_04_s.jpg
確定申告書の提出先は、次のように定められています。
2023.02.13 14:40:25