改正を踏まえた住宅ローン控除制度の注意点
リエ「黒田さん、住宅ローン控除って今でもありますよね。」
黒田「もちろんありますよ。住宅を購入されるんですか。」
リエ「私ではありませんが、友人が購入を検討しているようで先日聞かれたのですが、よく分からなくてほとんど答えられなかったんです。」
黒田「住宅ローン控除は頻繁に改正されますので答えるのは難しいですよ。令和4年度の税制改正でもかなり改正されていますので、これから住宅を購入される方に特に注意して頂きたいことを申し上げますね。」
リエ「お願いします。」
黒田「まず注意して頂きたいのは、令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅については、一定の省エネ基準に適合していないと住宅ローン控除の適用を受けられないということです。」
リエ「そうなんですか、省エネ基準に適合する住宅というのはどういったものですか。」
黒田「具体的には『認定長期優良住宅』『認定低炭素住宅』『ZEH水準省エネ住宅』『省エネ基準適合住宅』に該当する住宅です。これらに該当するには国土交通省に登録された住宅性能評価機関や省エネ評価機関、その地域を所管する行政庁の認定を受ける必要があります。」
リエ「ということは住宅を新築する場合に申請したりしなければならないということですか。」
黒田「仰る通りです。申請にあたっては建築関連の専門的な書類が必要となりますので、戸建て住宅を新築するような場合は、あらかじめ工務店等に相談しておく必要があります。また新築の建売住宅や、新築のマンションを購入する場合はこれらに該当する住宅かどうかをきちんと確認する必要があります。」
リエ「そうなんですね。省エネ基準とかよく分かりませんが、住宅を新築・購入するとなったらその辺りについて勉強する必要がありますね。」
黒田「そうですね。これらの基準に該当すれば住宅ローン控除の対象となる借入限度額も増額されますし、控除期間も延長されて13年間が適用されます。」
リエ「なるほど、住宅ローン控除による税額控除額が多くなることが期待できるわけですね。」
黒田「はい、ただ令和4年以降に住宅を取得して住宅ローン控除を受ける場合は、控除率が1%から0.7%に下げられています。また住宅ローン控除は各年の所得が一定水準以上の方は適用できないことになっていますが、令和3年以前は3000万円が基準だったところ、令和4年以降は2000万円に引き下げられています。これらの改正事項も踏まえて、どれくらいの住宅ローン控除額が期待できるのかを試算しておかれた方がいいと思いますよ。」
リエ「かなり複雑ですね。でも一生に一度の大きな買い物ですから慎重にきちんと検討するのはある意味当然といえば当然か。」
黒田「個人的にはここまで頻繁に改正して、結果的に複雑にしてしまうのはどうかとは思いますが、状況の変化による背景があるようなのでやむを得ないところですね。」
リエ「そうなんですね、とりあえずは友人に話してみます。ありがとうございました。」