HOME コラム一覧 さらに便利で使いやすく今の企業版ふるさと納税を解説

さらに便利で使いやすく今の企業版ふるさと納税を解説

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2016年に始まった企業版ふるさと納税は、2020年の税制改正で大幅な見直しが実施されました。当初、4年間の時限措置で導入された制度の適用期限が5年間延長されたことに加え、税額控除割合の引き上げや手続の簡素化が行われるなど、より使いやすくなっています。今回は現行の制度の基盤になった、2020年の改正の内容について詳しく紹介します。

税の軽減効果が最大約6割から約9割に

一番大きなポイントが、この税額控除割合の引き上げです。従来は最大約3割だったものが最大約6割に引き上げられたことで、損金算入による軽減効果と合わせると企業の実質負担額が約1割になりました。

認定手続きの簡素化

これまでは自治体が、寄付を活用する個別事業ごとに地域再生計画を作成し、内閣府が認定を行っていました。改正後は、自治体が地域再生計画に記載する事業を大括り化(ひとまとめの計画と)して、内閣府が包括的に認定を行っています。包括的な認定の場合には地方版総合戦略の全域が制度の対象となるため、寄付意向のある企業は寄付先の自治体と相談しながら対象事業を指定できるようになりました。また、地域再生計画の記載事項が抜本的に簡素化され、自治体の負担が軽減されたことも大きなポイントです。

併用可能な国の補助金・交付金の範囲の拡大

地方創生関係交付金や地方財政措置を伴わない補助金・交付金に加え、併用可能な国の補助金・交付金の範囲が拡大されました。併用可能な補助金・交付金は2020年の税制改正時点で7府省の80件、また2022年12月末時点では100件に及び、これによって自治体が寄付を募れる事業の範囲が拡大し、企業にとっては寄付先の選択肢が広がりました。

寄付時期の制限の大幅な緩和

地域再生計画の認定後、「寄付(受入れ)の金額の目安」の範囲内であれば、事業費が確定する前の寄付の受領が可能になりました。これにより、決算月など企業に有利なタイミングで寄付を実施できるようになりました。
この2020年の税制改正を機に市場規模は順調に拡大しており、2021年度の寄付金額は前年度比約2.1倍となる約225.7億円、件数は約2.2倍の4,922件になっています。2019年度からの2年間では金額は約6.7倍に増えており、この改正によって制度が大きく普及したことがわかります。

令和2年度:企業版ふるさと納税の拡充・延長の全体

全体解説(企業版ふるさと納税の拡充・延長)



執筆者情報

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小坪 拓也

企業版ふるさと納税コンサルタント/river認定講師

2018年12月に企業版ふるさと納税制度に出会い、制度の研究・啓発と事業検討を行ってまいりました。
【以下、略歴】
2019年9月:企業版ふるさと納税コンサルタントとして活動開始
2020年4月:企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォームriverをサービスリリース
2021年5月:奈良県企業版ふるさと納税連絡協議会のアドバイザーに就任
2022年9月:経済産業省 大臣官房臨時専門アドバイザーとして官民連携の取組みを開始

2022年12月20日時点で121の自治体と契約を有し、全国の連携企業と共に地域を元気にするための活動を実践中。

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2023.02.02 16:22:29