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アンケート結果から読み解く。企業はこんな思いで寄付しています

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株式会社カルティブは、2022年6~7月にかけて企業版ふるさと納税に関する実態調査を行いました。これは、2021年1月と7月に続く3回目の定点調査となり、351の自治体と1,289の企業から回答を得ることができました。自治体と企業、双方の意識や取り組み方などを知ることで、企業版ふるさと納税の現状を分析し、制度をより一層普及させることを目的としています。今回は企業からの回答に注目し、寄付に対する企業の思いを紹介します。

検討を始めた企業は寄付する傾向に

アンケートに回答した企業の寄付実施率は5.2%。前年度比では1.44倍にあたり、多くの企業が実際に寄付を実施したことを示しています。また、積極的に寄付を検討する企業は59.6%に及び、その理由として「世の中の注目度が上がってきた」「寄付実績のある企業から事例を聞いた」などの回答が得られました。多くの企業のなかに制度が浸透していることがわかります。

また、寄付を検討したことがある企業のうち、「寄付実績がある」または「寄付意向がある」企業は71%を占めており、検討した企業の多くが寄付を実施、または実施するつもりであることがわかります。以下では、今回のアンケートでの注目すべき回答を紹介します。

寄付を実施した(する)理由

・自社の拠点やゆかりの地である自治体が寄付を募っていたから 64.2%(+8.2ポイント)
・趣旨に賛同できるプロジェクトがあったから 41.1%(-11.5ポイント)

寄付における重視ポイント

・地方創生に積極的に取り組む企業としてのイメージアップ効果 41.5%(+1.1ポイント)
・自治体との良好な関係の維持 38.6%(+5.7ポイント)

寄付をする要素(寄付をする理由となったもの)

・企業版ふるさと納税サイトへの企業名掲出 41.1%(+0.1ポイント)
・自治体のウェブサイトへの企業名掲出 37.7%(-0.5ポイント)
・実証実験の機会が受けられる 20.3%(+3.8ポイント)
※()内は、2021年7月アンケート結果との比較

戦略をもって寄付を実施。企業の寄付条件が明確に

最近の傾向として、企業では先に寄付募集プロジェクトの条件を細かく決めることが多くなっています。事業分野や自治体の所在地、期待されるベネフィットなど、条件に合致しないものは検討の対象にすらならない場合もあります。

寄付を検討した企業のうち29%が寄付に至りませんでしたが、断念理由としては「充分な情報やわかりやすい情報が得られなかったから」が42.9%、「寄付したいと思うプロジェクトがなかったから」が41.1%と高い割合を示しています。

条件に合うプロジェクトを見つけることは企業の寄付担当者を悩ませているところです。「自治体に期待すること」では52.4%が「積極的な情報開示」と回答しており、慎重に寄付先が選定されていることを示しています。

高まりつつある民間サービスの活用意向

制度に関わる民間サービスとして、企業版ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとコネクト」や企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォーム「river」などがあります。今回のアンケートでは、これらの利用意向が大幅に上昇した結果となり、いずれも大規模な企業ほど高い利用意向を示しています。


今回のアンケート結果からは、企業がより積極的に企業版ふるさと納税を活用しようとしている姿が見えてきました。企業は、有意義な寄付の実施を望んでおり、寄付先選定の難しさも浮き彫りになりました。民間サービスの活用も視野に入れつつ、会社経営にプラスになる寄付につなげていただきたいと思います。


企業版ふるさと納税の最新市場動向を大公開!アンケート結果報告会



執筆者情報

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小坪 拓也

企業版ふるさと納税コンサルタント/river認定講師

2018年12月に企業版ふるさと納税制度に出会い、制度の研究・啓発と事業検討を行ってまいりました。
【以下、略歴】
2019年9月:企業版ふるさと納税コンサルタントとして活動開始
2020年4月:企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決プラットフォームriverをサービスリリース
2021年5月:奈良県企業版ふるさと納税連絡協議会のアドバイザーに就任
2022年9月:経済産業省 大臣官房臨時専門アドバイザーとして官民連携の取組みを開始

2022年12月20日時点で121の自治体と契約を有し、全国の連携企業と共に地域を元気にするための活動を実践中。

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2023.01.31 16:27:31