ふるさと納税のワンストップ特例制度と確定申告

リエ「黒田さん。私事で恐縮なのですが伺いたいことがあって……、よろしいでしょうか。」
黒田「大丈夫ですよ。どうしましたか。」
リエ「ありがとうございます。ふるさと納税に関係する質問なのですが、去年私はふるさと納税をして、年内にワンストップ特例制度を利用したんです。でも、いまになって医療費控除も受けられると気が付いて……確定申告をしたいと思ったのですが、すでにワンストップ特例制度を利用していても、確定申告できるでしょうか。」
黒田「できますよ。ワンストップ特例制度と確定申告をどちらも行いますと自動的に確定申告が優先されて、すでに利用したワンストップ特例制度が無効になります。」
リエ「そうなんですね。よかった……、次回からちゃんと確認してから利用するようにします……。」
黒田「二度手間になりますのでそうなさってください。雑損控除、医療費控除、住宅ローン控除適用の一年目は確定申告でないと控除が受けられませんし、副業をしていて給与以外に所得がある方などは確定申告が必要となりますので、ワンストップ特例制度は自分が確定申告する必要がないことと、ふるさと納税先が5団体以内であることを確認してから利用するようにしてくださいね。」
リエ「気を付けます……。あの、よろしければ、今回の場合で確定申告の際に気を付ける点があれば教えていただけませんか。」
黒田「そうですね、確定申告をすると利用したワンストップ特例制度が無効になってしまいますので、確定申告の際も改めてふるさと納税を寄附金控除として申告しないと控除を受けられない点でしょうか。」
リエ「そっか、無効になるってことは、引き継いで適用されないってことですもんね。」
黒田「ええ、そうなんです。もし、確定申告で寄附金控除を申告しなかった場合は、更正の請求により寄附金控除を受けることができますが……、改めて手続きをするということになりますから、忘れずに行うに越したことはありません。」
リエ「確かに。忘れずに申告するようにします。確定申告をする際は添付書面として寄附金の受領書を添付すればいいんですよね。」
黒田「はい。振込用紙や納付書で支払った場合は振込票控が寄附を証明する書類となる場合がありますので、そのような寄附を証明する書類を添付するようにしてください。また、令和3年分の確定申告から、ふるさと納税の場合ですと、国税庁長官が指定した特定事業者が発行する『寄附金控除に関する証明書』を添付書類とすることができるようになりましたのでそちらでも構いません。この国税庁長官が指定した特定事業者は、国税庁のサイトに一覧が載っていますが、主にふるさと納税のポータルサイトを運営する事業者が指定されていますね。」
リエ「そうなんですね、わかりました。あ、そういえば、添付しなきゃと思っていましたが、e-Taxで申告をする際には寄附を証明する書類の添付は不要でしたよね。」
黒田「ええ。ですが、添付しない代わりに、5年間は税務署等からの提示や提出の求めがあった場合に応じる必要がありますので、いずれにしても確定申告をする際には、証明書類を入手しておく必要があります。」
リエ「添付は不要でも保管は必要ということですね。」
黒田「そういうことです。手元にはありそうですか。」
リエ「大丈夫です。以前に確定申告でふるさと納税の控除を受けたことがありますので、ちゃんと書類は保管していると思います。」
黒田「よかったです。漏れのないよう確定申告なさってくださいね。」
リエ「はい。ありがとうございます。」