税の軽減効果を得られ社会に貢献! 会社経営に役立つ企業版ふるさと納税は
こんな制度です
企業版ふるさと納税をご存じでしょうか? これは個人版のふるさと納税と同様に、地方公共団体(=以下、自治体)を支援することで税の軽減効果を得られるというもの。個人版との大きな違いは、個人ではなく企業(法人)が行うものであることと、返礼品がないということ。その代わりに、企業イメージアップや業績アップにつながるなどの効果が期待できます。
今回はこの制度のことをよく知らない人のために、どんなメリットがあるのかを解説します。基本をしっかりと学んで、会社経営にお役立てください。
最大で寄付額の約9割の税の軽減効果。節税対策としての制度活用
企業版ふるさと納税は、正式名を地方創生応援税制といい、内閣府が認定した自治体の地域再生計画に対して企業が寄付を行った場合に、法人関係税から税額控除する制度です。制度は2016年に内閣府主導で創設され、2020年の税制改正によって最大約9割の税額軽減が受けられることになりました。仮に1,000万円寄付したとすると、最大約900万円の法人関係税が軽減され、実質約100万円の負担で自治体の取り組みを支援することができます。また、制度を利用しやすいよう、寄付額の下限は10万円と低めに設定されているのもポイントです。
本社のある自治体への寄付は対象外。禁止事項には要注意
制度活用にあたってはいくつかの留意事項があります。
まず、本社が所在する自治体への寄付については制度の対象にはなりません。また、地方交付税の不交付団体である東京都や不交付団体で三大都市圏の既成市街地などに所在する市区町村は対象外となります(2022年11月11日時点では、46道府県1,487市町村が対象となっています)。また、寄付の代償として経済的な利益供与を受けることも禁止されています。
約1割の負担で得られる税の軽減効果以外のメリットは?
ここまでで、実質1割負担で自治体の取り組みを応援できることがご理解いただけたかと思います。では、税の軽減効果以外のメリットについて見ていきましょう。
①社会貢献で企業イメージアップ
自治体の取り組みを支援することでSDGs(持続可能な開発目標)に寄与でき、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)活動としてPRできます。また、創業地や役員の出生地など縁のある自治体への恩返し、あるいは被災地への復旧・復興支援など、社会貢献に活用できます。
➁事業展開で業績アップ
寄付先自治体の広報誌やホームページなどに社名が掲載されることで企業のPR効果が期待できます。取引先や金融機関への信用力向上にもつながり、金融機関から融資を受けることにより新規事業を展開し、中長期的な業績アップが見込めるほか、認知度アップにより採用活動への好影響も期待できます。また、自治体との新たなパートナーシップの構築により、実証実験の実施や社員と地域の交流などを通して、新事業の展開に寄与した例もあります。
最近では、20億円以上の寄付や、競技場の物納、また社員を自治体職員として派遣するなど、活用の幅が広がっています。
制度活用の最大のポイントは、実質約1割負担でこれらのメリットが得られることにあります。最小限の負担で最大限のメリットを得るためにはどうすればいいか。次回以降で詳しく見ていきましょう。
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