適格請求書発行事業者以外からの資産購入
リエ「インボイス制度が導入された後に適格請求書発行事業者以外の事業者等から備品等の資産を購入した場合、どのように処理すれば良いのでしょうか。」
黒田「令和5年10月1日に11,000,000円の建物(耐用年数20年、定額法)を購入したケースで確認してみましょう。仕訳時に完結する方法と決算時に調整する方法が考えられます。
後者の決算時に調整する方法では、会計処理の他に減価償却の償却限度超過額として所得金額に190,000円の加算調整を行う必要があります。」
リエ「仕入税額控除対象外となる消費税額等を考慮しなければいけないのですね。」
黒田「決算時に調整する方法では、期末の棚卸在庫等も申告調整を行わなければいけませんので注意が必要です。」
リエ「決算時の申告調整を忘れる可能性もありますし、仕入税額控除対象外部分について仕訳追加を行って対応しなければならないなど、たしかに注意する必要がありますね。」
黒田「令和5年度税制改正において年間売上が1憶円以下の事業者に対し、仕入額が1万円未満であればインボイスを不要とする経過措置を設ける案等があがっており、まだ制度開始までに変更となる点もありそうなので、今後の動向に注意が必要です。」
リエ「取引ごとに適格請求書発行事業者なのか確認したり、軽減税率を確認したりと事務の負担は増える一方なので、システム等への投資が難しい中小企業の事務負担が軽減されるような改正を期待しています。」