法定調書における給与所得の源泉徴収票の提出範囲
リエ「黒田さん。今年も残り1ヵ月ほどですね。」
黒田「そうですね。つい最近まで暑かったのにあっという間ですよね。年が明けたら色々とあるので忙しくなるのではないですか?」
リエ「そうなんですよ。法定調書や償却資産税の提出がありますものね。そうそう、法定調書を税務署に提出する際に給与所得の源泉徴収票を提出する範囲をもう一度教えてもらえますか?」
黒田「はい。年末調整を行った方と行わなかった方に分けて説明しますね。まず年末調整を行った方については以下となります。」
① 法人の役員は、その年の給与等の支払額が150万円を超えるもの。
② 弁護士、司法書士、税理士等は、その年の給与等の支払額が250万円を超えるもの。
③ 上記①および②以外は、その年の給与等の支払額が500万円を超えるもの。
黒田「ちなみに法人の役員というのは現に役員をしていなくても、その年中に役員であったものも含みます。」
リエ「ちょっと待ってください。弁護士等はたしか、その年の支払額が5万円を超える場合に提出するのでなかったでしたっけ?」
黒田「ええ。それは報酬として支払った場合に報酬・料金・契約金及び賞金の支払調書を提出する範囲ですね。上記②は給与等として支払った場合のことです。」
リエ「なるほど。そういうことですか。」
黒田「続いて年末調整を行わなかった方については以下となります。」
① 給与所得の扶養控除申告書を提出した方で、その年中に退職した方や災害を受けたため給与所得に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた方については、その年の給与等の支払額が250万円を超えるもの(ただし法人の役員については50万円を超えるもの)
② 給与所得の扶養控除申告書を提出した方で、その年の主たる給与等の金額が2000万円を超えるため年末調整をしなかったもの
③ 給与所得の扶養控除申告書を提出しなかった方で、その年の給与等の支払額が50万円を超えるもの
リエ「給与所得の扶養控除申告書を提出しなかった方とは、どういう方ですか?」
黒田「給与所得の源泉徴収税額表の月額表または日額表の乙欄または丙欄の適用者ですので、例えば2ヵ所以上から給与を貰っている方で、その給与が従たる給与の場合や、日雇賃金も貰っている方などです。」
リエ「数字が色々出てきて、ややこしいですね。」
黒田「今ご説明したのは、あくまで税務署へ提出する範囲ですので、給与等の受給者本人へは全員に源泉徴収票を交付しなければなりませんし、市区町村へは全ての受給者分の給与支払報告書を提出しなければなりませんのでご注意ください。」