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第15回 建設業の「経営事項審査(経審)」の改正について

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 今回は、建設業の「経営事項審査(経審)」の改正について述べることにします。

1.改正される項目は、「経審」の5つの項目(X1、X2、Y、Z及びW)のうちのW(「その他社会性」)に関する部分です。

2.現在、ワーク・ライフバランス(仕事と生活の調和)に対する取り組みは我が国において広く実施されていますが、「経審」(W)においても以下①、②、③の取組に関して厚生労働省の認定を受けた企業は5点の加点が得られることになりました。

 ①.女性活躍推進法
 ②.次世代法
 ③.若者雇用促進法

 なお、上記の認定を受けた企業は、下記の「経審」面以外の多くの特典にも浴することができます。

 (1).企業イメージの向上や優秀な人材の確保に関し社会にアピールできる。
 (2).日本政策金融公庫の低利融資が受けられる。
 (3).両立支援助成金等の受給が得られる。

3.次に「CCUS(建設キャリアアップシステム)」の活用は、(1)企業にとっては技能者のキャリアアップの状況や現場への入場管理等の効率化という面でメリットがあり、(2)技能者にとっても自己の資格や就業履歴を容易に証明できるため適正な処遇が受けられるというメリットをもたらします。

 このため、CCUSを公共工事で活用している場合は10点、公共・民間全ての工事で活用している場合は15点が「経審」の(W)において加点されることになりました。

4.上記2.の改正内容は令和5年1月1日以降の「経審」の申請から適用され、上記3.の改正内容は令和5年8月14日以降の「経審」の申請から適用されます。

 これら改正は建設企業の各方面において少なからぬメリットをもたらします。今から前向きに取り組むようにいたしましょう。

執筆者情報

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吉永 茂

一般社団法人コンサル技連

一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授
一般社団法人原価管理研究会(SCC)
講師

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 今回は、建設業の「経営事項審査(経審)」の改正について述べることにします。1.改正される項目は、「経審」の5つの項目(X1、X2、Y、Z及びW)のうちのW(「その他社会性」)に関する部分です。2.現在、ワーク・ライフバランス(仕事と生活の調和)に対する取り組みは我が国において広く実施されていますが、「経審」(W)においても以下①、②、③の取組に関して厚生労働省の認定を受けた企業は5点の加点が得られることになりました。 ①.女性活躍推進法 ②.次世代法 ③.若者雇用促進法 なお、上記の認定を受けた企業は、下記の「経審」面以外の多くの特典にも浴することができます。 (1).企業イメージの向上や優秀な人材の確保に関し社会にアピールできる。 (2).日本政策金融公庫の低利融資が受けられる。 (3).両立支援助成金等の受給が得られる。3.次に「CCUS(建設キャリアアップシステム)」の活用は、(1)企業にとっては技能者のキャリアアップの状況や現場への入場管理等の効率化という面でメリットがあり、(2)技能者にとっても自己の資格や就業履歴を容易に証明できるため適正な処遇が受けられるというメリットをもたらします。 このため、CCUSを公共工事で活用している場合は10点、公共・民間全ての工事で活用している場合は15点が「経審」の(W)において加点されることになりました。4.上記2.の改正内容は令和5年1月1日以降の「経審」の申請から適用され、上記3.の改正内容は令和5年8月14日以降の「経審」の申請から適用されます。 これら改正は建設企業の各方面において少なからぬメリットをもたらします。今から前向きに取り組むようにいたしましょう。
2022.10.04 16:53:34