家屋の固定資産税評価額が何年も変わらない、なぜ?
リエ「黒田さん。ちょっといいですか?」
黒田「はい。どうしましたか?」
リエ「知り合いが今年、マイホームを新築したのですが固定資産税の納付書が届かないと不安になっているのです。もう届く時期ですよね?」
黒田「固定資産税は1月1日現在、土地、家屋及び償却資産の所有者として固定資産台帳に登録されている方に課税するものなので、今年の1月2日以降に新築したのであれば課税されるのは来年からですよ。」
リエ「そうなのですか!」
黒田「はい。よく中古不動産の売買契約書などで買主が固定資産税を日割り計算して負担することがありますが、あれはあくまでも商習慣として当事者間の合意により行われているものですので、地方税法上の納税義務者は1月1日に所有していた方です。」
リエ「その他に注意することはありますか?」
黒田「住宅用地等に関する申告書を市区町村または都税事務所へ提出する必要があります。これを提出することにより固定資産税の課税標準額は6分の1になりますので。」
旭課長「そういえば私が昔、家を建てた時には役所の人が見に来ましたね。」
黒田「家屋調査ですね。家屋を新築や増改築した場合、その家屋の評価額というのは買入価格や建築工事費ではなく、その家屋に使用されている資材や設備を基に再建築価格方式によって評価額が決定されます。調査方法は家屋の所有者が必要書類を郵送して確認する方法か、もしくは実際に評価担当職員が家屋を訪問して状況を確認する方法があります。なお、固定資産税は3年に一度評価替えのときに価格を見直すことになりますが、一度家屋調査を終えた家屋は、家屋の状況が変わらない限り再度家屋調査を行うことはありません。」
旭課長「ところで黒田さん。土地の評価額は諸々の要因により上がるのはわかるのですが、家屋の評価額というのは年々価値が下がっていくものですよね。ところが私の家屋の固定資産税評価額はもう何年も変わらないんですよ。これって問い合わせてみたほうがいいですかね?」
黒田「先程も申し上げました通り、家屋の評価方法は再建築価格方式を採用しています。つまりは、評価する時点においてその家屋と全く同じものを新築しようとする場合に必要とされる建築費(再建築価格)に家屋の建築後の年月の経過によって生じる損耗の状況による減価率(経年減点補正率)を乗じて評価額が決まります。したがって、例えば建築資材が高騰して、その上昇率が減価率を上回る場合は評価額が逆に上がることになります。しかし、現実の税負担を考慮して評価替え後の評価額が評価替え前の評価額を上回る場合には、評価替え前の評価額に据え置くこととされていますので、何年も評価額が変わらないのだと思いますよ。」
旭課長「なるほど。そういうことだったのですか。問い合わせなんかして恥をかくところでしたよ。」
黒田「固定資産税って納税者側では何も計算せずに、ただ送られてきた納付書で納付するだけですからね。旭課長みたいに疑問を持つことは良いことだと思いますよ。」