成年年齢引下げが税務に与える影響
リエ「黒田さんこんにちは。気になっていることがあるのですが、お聞きしてもよろしいですか。」
黒田「リエちゃんこんにちは、どんなことですか。」
リエ「この前ニュースで、成年年齢の引下げについて取り上げていました。18~19歳の方向けに選挙や政治の説明をする一方、飲酒喫煙は引き続き20歳からです、という 注意もしていました。全てが18歳から解禁というわけでもないんですね。」
黒田「民法の改正により令和4年4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられた件ですね。」
リエ「たしか税法にも成年と未成年で扱いの違うものがあったと思いますが、どうなっているのかな、と思いまして。」
黒田「そうですね、贈与税と相続税には、受贈者や相続人等の年齢に関する要件があります。 これらは全て民法に合わせて、20歳を基準としていた場合は18歳に引き下げる税制改正が行われています。」
リエ「なるほどしっかり改正されていたんですね。基準年齢が変更になることで特例措置になるようなことはないのでしょうか。」
黒田「特例ということはないですが、令和4年での年齢が18~20歳の方に関しては少々わかりにくくなっているかもしれません。」
リエ「そうなんですか。成人式はいつやるべきかなど、各所でちょっとした混乱はあるように思います。税法だとどんな時がわかりにくくなりますか。」
黒田「たとえば相続時精算課税制度は『その年の1月1日において』の年齢で判断をします。 受贈者が令和4年1月1日において18歳だった場合、贈与日が令和4年3月31日以前の場合は要件が20歳以上ですので相続時精算課税制度の適用対象外となりますが、贈与日が令和4年4月1日以後の場合は要件が18歳以上となりますので 適用を受けられます。」
リエ「その年の1月1日の年齢はもちろん同じですが、贈与日が改正の日である4月1日の前か後かで、適用できるかどうかが変わってくるんですね。」
黒田「そうなります。ほかにも相続税には未成年者控除という制度がありますが、これは『相続等の日』の年齢によって判断します。たとえば相続人が令和4年4月1日時点で18歳になった場合、相続の日が令和4年3月31日以前であれば未成年者控除が適用できますが、令和4年4月1日以後であれば成年となるため適用できません。」
リエ「うーん、18~20歳の方に年齢要件のある制度を使うときは、しっかり時系列を整理する必要がありそうです。」