雇用保険料率の変更と年度更新について
今日は守田社労士の訪問日です。
リエ「守田先生、こんにちは。今年は雇用保険料率がいつもと違う時期に変更になるって聞いたのですが……。」
守田「そうなんですよ、新型コロナ感染症の影響で雇用調整助成金の給付額が増大したことや、失業給付等の財源を確保するためのようですが、例年の4月だけではなく、10月にも変更があります。」
リエ「2段階で変更するのですか? あれっ、4月給与では何も変わらないと思って3月と同じ料率で雇用保険料の処理をしてしまいましたけど……。」
守田「大丈夫です。4月から変更になったのは事業主負担分だけなので、給与明細上の影響はありません。労働者の雇用保険料率が変更になるのは今年の10月からです。ちなみに事業主負担分は4月以降、一般の事業で6/1000から6.5/1000に変更となりました。(※1)」
リエ「思ったより小さい変更でしたね。」
守田「これからですよ、10月の変更が大きいのです。労働者負担分は、一般の事業で3/1000から5/1000へ、事業主負担分もさらに8.5/1000になります。(※1)」
リエ「本当に大きく変わりますね。」
守田「はい、でも7~8年前までと同じ料率なんですよ。」
リエ「確かにここ数年、雇用保険料率はだんだん下がってきたみたいですね。あれ、年度の途中で変更になるということは、今年の年度更新の概算保険料はどうやって計算すればいいのですか。」
守田「そこがポイントです。年度の途中で料率が変更するなんて私も初めてでしたので、資料を確認しました。毎年送られてくる年度更新の書類の中に『確定保険料・一般拠出金算定賃金集計表』というA3の用紙が1枚同封されているのはご存知ですか。」
リエ「はい、毎月の賃金額を記入して労災と雇用の算定基礎額をそれぞれ集計するものですよね。毎年使っていますよ。」
守田「今年の賃金集計表の一番下に、雇用保険の概算保険料を算定するための欄が追加で記載されます。具体的には、雇用保険加入者の賃金総額を2等分(※2)して、①4~9月分は労働者3/1000と事業主6.5/1000で計9.5/1000、②10~3月分は労働者5/1000と事業主8.5/1000で計13.5/1000の保険料率によりそれぞれの概算保険料を計算したうえで、③合計し、その合計額を申告書に転記する方法です。注意点としては、①と②で算出した額については1円未満の端数を切り捨てず、③で合計した後に1円未満を切り捨てるということです。」
リエ「なるほど、半分ずつ計算して合計するってことですね。それならできそうです。少し安心しました。」
守田「それは良かったです。年度更新に備えて、そろそろ賃金の集計を始めてもいい頃ですね。」
リエ「わかりました。早めに対応します。ありがとうございました。」
(※1)一般の事業以外は「令和4年度雇用保険料率のご案内」でご確認ください。
(※2)賃金総額は千円未満を切り捨て
2等分する際に生じる端数については、①は切り上げ、②は切り捨て
【参考資料】
令和3年度賃金集計表
令和3年度賃金集計表(雇用保険分)