国税不服審判所の役割
リエ「黒田さん、こんにちは。税法の勉強をしていると国税不服審判所の採決事例というのをよく目にします。国税不服審判所ってどのような機関なのでしょうか?」
黒田「はい。国税不服審判所は、国税に関する法律に基づいて税務署長等が行った更正・決定や差押えなど(以下、処分)についての審査請求に対する裁決を行う機関で、国税庁の特別の機関になります。税務署長等の処分に不服がある場合には、その処分の取消しや変更を求めて再調査の請求か審査請求を行うことができるのですが、再調査の請求は税務署長等に対して行い、審査請求は国税不服審判所長に対して行います。審査請求を受けると国税不服審判所長は、税務署長等の処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を『裁決書』により納税者と税務署長に通知しなければなりません。」
リエ「国税庁の特別の機関ということで納税者が不利な扱いを受けるようなことはないのでしょうか?」
黒田「国税不服審判所は納税者の正当な権利利益を救済すること、税務行政の適正な運営を確保することを目的として運営されています。納税者と税務等の間に立って、処分に対する審査請求について公正な第三者的立場で裁決を行いますので、納税者、国税庁どちらか一方に偏ることはなく、国税庁の特別の機関ということをもって納税者が不利な扱いを受けることはありません。」
リエ「あくまでも中立の第三者機関なのですね。」
黒田「はい。国税不服審判所長は、国税庁長官通達に示された法令解釈に拘束されることなく裁決することができますし、審理の中立性・公平性を担保するために国税審判官には、国税職員、裁判官、検察官の職を経験した者だけでなく、弁護士、税理士、公認会計士などの民間の専門家も登用されています。また、リエちゃんが最初に仰ったように、国税不服審判所が出した裁決のうち先例となるような裁決については、国税不服審判所のホームページで公表されています。裁決事例、要旨がまとまっているので非常に参考になりますよ。」
リエ「黒田さん、ありがとうございました。これからも時間をみて裁決事例を研究してみたいと思います。」